安全で美しい流れを作れ!飛行機を操る管制官の仕事内容!

管制官と聞くと、

  • 空港の高い塔にいる人でしょ🗼
  • 無線で飛行機と話すんでしょ⚡️
  • そんなゲームあったよね🎮

そんなイメージがありますよね。聞いたことはあるけど、具体的にどんなことをしているのか分かりにく職業です。しかし仕事内容を知ると想像以上に飛行機の運行に密接に関わっていて、空の安全に直結する厳しい仕事であることがわかります。

目次

管制官は目視やレーダーで空域の飛行機を把握する

管制官は飛行機同士がぶつからないようにする仕事と、飛行機の順番(着陸や離陸順位)を決める仕事があります。飛行機それぞれの目線では、自分の飛行機を一番優先したいと思うのが当然ですが、✈️「ワレが!ワレが!(`・ω・´)ノ(`・ω・´)ノ」と滑走路に一度に集まってしまったら秩序ある飛行機の流れになりません。

秩序ある飛行機の流れを作るには管制官が必要になります。管制官は空港で一番見晴らしのいい視界と空港から数百km先の航空機の位置もわかる地上レーダーを用いて、空港周辺を飛行する航空機をほぼ全て把握しています。

地上レーダー網は日本全国をカバーするように張り巡らされており、日本の空を飛んでいる飛行機は管制官に常に監視されています。

管制官は交通整理人!飛行機に無線で指示・情報を出す

管制官がいる場所は空港で最も高い建物である管制塔の中です。管制塔は空港で最も見晴らしのいい場所にあり、空港と周辺の空域を人の目で見ることができるようになっています。

私たちが車で出かけるときは信号機などに従えば自由に道を走ることができますが、飛行機は空港内を勝手に移動してはいけないことになっています。飛行機は、

  • 大きすぎてパイロットにとって死角が多い(見えない範囲が多い)
  • 飛行機の車道(誘導路)は狭く、片側1車線分しかない状態
  • 空港の交差点に信号機がない(管制官がその役割)

要するに管制官は、パイロットが把握できない部分を補う役割が任されています。

航空無線通信士の資格を持つ

離れた場所にいる飛行機と話すためには無線を使う必要があります。イメージしにくいかもしれませんが、無線電話に使う電波は限りある資源であり、一般人が自由に使用することはできません。

電波を使用するためには国による許可が必要であり、航空無線を使うパイロットや管制官は「航空無線通信士」という資格を持っている必要があります。もし資格を持たずに電波を発射してしまうと電波法違反となり、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金という重い罪になります。

携帯電話とは違う!無線の話

航空無線での会話はスイッチを押している1人だけが話すことができるもので、携帯電話での会話とは違うことを頭に入れておきましょう。携帯電話は電話をかけている両者が同時に話すことができ、相手の言葉にかぶせて話すこともできます。

航空無線ではプレストークボタンというスイッチを管制官もパイロットも持っており、話したい時にそのボタンを押すことで音声の乗った電波を放つことができます。放った電波は、届く範囲(数百kmレベル)で同じ周波数に無線機を合わせている人全員が聞くことができますが、誰か1人がスイッチを押している間は他の人は話すことができません。

無線での会話は定型文で簡潔に。

航空管制の場合、一つの無線周波数の中に同時に10機以上の飛行機がいることも珍しくなく、一人が無線電波を出していい時間が自ずと絞られてきます。もし10機が公平に通信したい場合、1分間で一人あたり6秒間しか話す時間がありませんからね。

そのため航空管制で使われる言葉は、短く明確に意図が通じるように定型文が多く用いられています。航空管制で使われている言葉の9割以上は前もってルールで定められている定型分の組み合わせで成り立っています。

航空無線は便利なツールだが事故の原因になることも…

飛行機が多く飛び交う現在の空では、航空無線がないと空の安全と秩序を保つことは不可能です。航空無線は便利ですが、無線でのコミュニケーションミスにより何百人もの犠牲者を出すような事故が起きたこともありました。言い間違い、聞き間違い、認識を誤るなど。

  • テネリフェ空港ジャンボ機衝突事故…あいまいなコミュニケーション。航空事故史上最多死者数
  • 伊丹空港

こういった事故から得られた教訓を生かして、航空無線は日々、安全のための進化をしています。

滑走路と空域は限られた資源!効率的な運用は管制官の腕の見せ所

滑走路は離陸でも着陸でも1機が使用すると2分間は他の飛行機が利用できません。滑走路が1本ならば1時間に30回、24時間ひっきりなしに離着陸を繰り返したとしても1日720回の離着陸が限界になります。ちなみに日本で最も離着陸回数が多い羽田空港で1300回/日、次に多い成田空港で750回/日ですからどちらも滑走路1本では足りませんね。2024年時点で羽田空港は4本、成田空港は2本の滑走路を運用しています。

管制官が提供するサービスは「空間」

“空間を売る”というと怪しい商売に見えません?🎭空間を売っているというと語弊がありますが、管制官は「飛行機に安全な空間を提供するサービス」と表現できます。

  • 飛行中の飛行機が他の飛行機と近づかないように空間を開ける
  • 到着機の着陸のために滑走路を空ける
  • 出発機のために到着機と距離をとる

このように管制官は各飛行機にそれぞれの飛行フェーズに適した安全な空間と操作のための時間を提供します。管制官が責任を持って空間を提供するから、パイロットは安心して自機の操縦に専念することができるのです。

無駄な空間を作らないのも管制官の技術が必要

飛行機同士の空間はあればあるほどその飛行機にとっては安全ですが、より広い視野で空を見ると一箇所の余分な空間が、他のところにしわ寄せがいくことで別の場所での不安全要素になるのです。

離着陸する飛行機が滑走路を使う時間は1機につき2分間を目安に考えられていますが、もし身勝手な管制官が「飛行機同士が近いと怖いから」という理由でそれぞれの飛行機に3分間の時間を与えるように誘導していたらどうなるでしょう。

滑走路が1時間で30機処理できていたはずが、3分間に1機になると1時間で20機しか処理することができなくなります。滑走路の処理能力が30%減少してしまい、あぶれた飛行機は出発地の空港で待機になるか別の空域で混雑することになります。

経済性の面でも安全性の面でも大きな損失になってしまいます。航空機同士の安全な間隔をいかに効率よく提供するかが管制官の仕事の奥深いところです。

滑走路を使うためには待つ必要がある。どのように時間を稼ぐかが管制官の腕の見せ所

着陸する場合、飛行機は空港の滑走路に向かって飛んできます。東西南北のあらゆる方角から飛行機は飛んでくるため、必然的に空港周辺に集まります。しかし滑走路1本に対して2分に1機しか着陸できないため、多くの飛行機は着陸の順番待ちをすることになります。人気ラーメン店の行列のように管制官は1本の滑走路に対し、2分おきに着陸できるように飛行機を一列に並べます。言い換えると飛行機1機に対して2分間の着陸時間を提供します。

飛行機を一列に並べるために、

  • 飛行機の速度を落とす指示を出し、速度を統一する
  • 飛行する針路を指示し、行列に並ぶよう誘導する
  • 一つの場所にとどまってもらう(ホールディング)

などの手法が取られます。

これらの手法を個別、または複合的に使うことで飛行機を一列に並べていきます。

飛行機の列は羽田空港や関西空港などの混雑した空港で見るのがわかりやすいので、Flightradar24などのインターネットサービスを使って見てみましょう。飛行機がキレイに並んでいる管制官の職人技を見ることができます。

緊急事態の飛行機に最短距離を提供

飛行機は自由に飛んでいるように見えるが、空には航空路という見えない道路が整備されています。この道路は秩序ある交通流を作るために必要なもので、飛行機は基本的にこの経路に乗って飛行することが求められます。飛ぶべき道路が指定されているため、飛行機は出発地と目的地を単純に最短距離で飛行することはできません。

しかし機体に重大なトラブルを抱えていたり、急病人が発生して一刻も早く着陸する必要がある場合は、話が別です。普段は回り道をしなければいけない場合でも、緊急時の飛行機は空という何もない空間を最大限活かして、最短距離で目的地へ飛行する権利を得ることができます。

そこで力を発揮するのが管制官です。管制官は緊急機が発生した場合、その飛行機に可能な限り最大の援助をします。前に何十機いたとしても、緊急機を優先的に着陸させるために他の飛行機に道を空けてもらうなどの協力を仰ぎます。

また緊急機の火災や怪我人などに備え、消防車両や救急車両の手配も管制官が関係機関に依頼します。

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