短期予報解説資料を見よう!24年9月1日

おはようございます。

9月になりました。今日も気象庁発表の短期予報解説資料を読みながら気象の勉強をしていこうと思います。

目次

短期予報解説資料 2024年9月1日03時40分発表

主要じょう乱解説図 

気象庁短期予報解説資料より切り抜き

1.実況上の着目点


① 台風第10号は、東海道沖を東進。台風本体の雨雲や、日本のはるか東に中心を持つ太平洋高気圧縁辺を回る下層暖湿気が流入し、東日本太平洋側では大気の状態が不安定となっており、雷を検知し 1 時間に 30mmの激しい雨を解析。

日本のはるか東・・・何気ない言葉ですが気象では場所が定義されています。(下図参照)
激しい雨・・・1時間雨量が30mm以上50mm未満

日本のはるか東

気象庁HPより(編集あり)
24年9月1日3時(JST) ASAS天気図 編集あり

確かに太平洋高気圧の中心が「日本のはるか東」の東端ギリギリにありますね。

ラッコ

南からの暖湿気で蒸し暑いね🥵

西~東日本ではこれまでの大雨で土砂災害や洪水災害の危険度が高まっている所がある。


② 500hPa -12°C以下の寒気を伴ったトラフに対応する低気圧がオホーツク海にあって、北上。前線が北~東日本へのびる。

台風10号にばかり目が行きがちですが、北海道の北に強い低気圧が前線を伴って存在しています。

地上天気図 出典:気象庁HP(編集あり)
24年9月1日9時(JST) 500hPa天気図(編集あり)

前線や低気圧に向かって下層暖湿気が流入し、大気の状態が不安定となっており、東日本日本海側~ 北日本では 1 時間に 20mm の強い雨を解析。

強い雨・・・1時間雨量が20mm以上30mm未満

2.主要じょう乱の予想根拠と防災事項を含む解説上の留意点


① 1 項①の台風は、2 日にかけて北上、本州へ進み熱帯低気圧へ変わり、日本海で温帯低気圧化する。台風や熱帯低気圧周辺や 1 項①の高気圧縁辺を回り流入する下層暖湿気の影響で、雷を伴った非常に激しい雨が降り、大雨となる所がある。

台風→熱帯低気圧→温帯低気圧
このように変化する流れが書かれています。

台風→熱帯低気圧
台風とは、そもそも熱帯低気圧という大きなくくりの中の一つの名称です。台風は熱帯低気圧の中で最大風速が約17.2 m/s以上にまで発達したものを言います。また存在している場所の要件もあり、北西太平洋または南シナ海に存在する必要があります。
今回の熱帯低気圧化とは、最大風速の要件(最大風速17.2m/s)を満たせなくなることによるもので、台風が弱っていることがわかります。

熱帯低気圧→温帯低気圧
台風10号は、熱帯低気圧に変わったあと、温帯低気圧に変わることまで記述されています。熱帯低気圧とは、暖かい空気だけで構成されている低気圧です。暖かい空気だけで構成されているので寒暖の境目にある「前線」は当然ながらありません。「前線を持たない」というのも熱帯低気圧の大きな特徴です。
一方、温帯低気圧とは寒気と暖気の境目(前線)でできる低気圧です。当然ながら前線を持ち、寒気と暖気という性質の異なる空気で構成されています。これは熱帯低気圧と温帯低気圧の大きな違いですね。
つまり熱帯低気圧から温帯低気圧に変わるということは、
①低気圧を構成する空気が暖気一色から寒気と暖気の2種類へ
②寒気と暖気の境目に前線ができる
といった変化が見られることになります。

また、台風や熱帯低気圧周辺では、強い風が吹き、海上はうねりを伴い波が高くしけとなる所がある。

強い風・・・風速が15m/s以上20m/s未満の風。
しける・・・波高が4mをこえ6mまで

東日本では 2 日にかけて、土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に厳重に警戒。西日本では 2 日にかけて、土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に警戒。西~東日本では 2 日にかけて、強風や高波、落雷や竜巻などの激しい突風に注意。


② 1 項②のトラフに対応する低気圧はオホーツク海を北上、前線が本州付近にのびる。前線や低気圧に向かって流入する下層暖湿気の影響で、北日本では大気の状態が非常に不安定となり、雷を伴った激しい雨が降り大雨となる所がある。

また、前線や低気圧周辺では気圧の傾きが大きくなり、強い風が吹き、波が高くなる所がある。北日本では、3 日にかけて、土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に警戒し、強風や高波、落雷や竜巻などの激しい突風に注意。

紀伊半島の南東にある台風10号は中心気圧が1000hPaまで上がっていて等圧線も混んでいない。一方、北海道の北にある低気圧は中心気圧が970hPaまで発達していて等圧線も混んでいるのがわかる。等圧線が混んでいる場所は短い距離で気圧が急激に変化しているため、強い風が吹いています。


③ 3 日は日本海に中心を持つ高気圧に日本付近は次第に覆われる。東日本では滞留する下層暖湿気と日射による昇温で大気の状態が不安定となる。東日本では 3日は、落雷や突風、急な強い雨に注意。

3.数値予報資料解釈上の留意点

総観場は GSM を基本、量予想や降水分布は MSM や LFM も参考。

4.防災関連事項 [量的予報等]

①雨量(06時からの24時間):東海200、近畿150、関東甲信・伊豆 諸島 120mm。

②波浪(明日まで):東海 4、北海道・東北・関東・伊豆諸島・近畿 3m。

シャック

台風が弱まるにつれて波も弱くなってきたね。
もう少しでUS-2救難飛行艇も飛べるかな?✈️(←波高3m着水可)

救難飛行艇US-2 (出典:海上自衛隊ホームページ)

③高潮(明日まで): 西~東日本では注意報基準を超過する所がある。


5.全般気象情報発表の有無

「台風第 10 号に関する情報(総合情報)」を 5 時頃に発表予定。

短期予報解説資料 2024年9月1日15時40分発表

出典:気象庁 短期予報解説資料2409011540 一部抜粋 

1.実況上の着目点


① 台風第10号は、1日12時に熱帯低気圧に変わり、東海道沖をゆっくり北上。熱帯低気圧周辺の雨雲や日本のはるか東に中心を持つ太平洋高気圧の縁辺を回る下層暖湿気が流入し、西~東日本の太平洋側では、大気の状態が非常に不安定となっており、局地的に1時間 10~20mm 程度の雨量を解析し、雷を多数検知。

台風第10号(名称:サンサン)は1日12時に熱帯低気圧に変わりました。仮にこの低気圧が暖かい海上で再び勢力を強めることができ最大風速17.2m/sに到達することができたら再び台風10号のナンバーが与えられます。しかし今のところそうなる予想はありません。

1時間雨量が10mm以上20mm未満→やや強い雨

これまでの大雨で、西~東日本の太平洋側を中心に地盤の緩んでいる所があり、土砂災害の危険度が高まっている所がある。


また、1 日 7 時の 72時間積算解析雨量では、神奈川県で 900mm 以上、静岡県伊豆半島で 700mm 以上の記録的な大雨となっている所がある。


② オホーツク海には500hPa -12°C以下の寒気を伴った寒冷渦があって、対応する直下の低気圧が北上。この低気圧から前線が日本の東~北日本にのびる。前線に向かって①の下層暖湿気が流入し、大気の状態が不安定となっている所がある。

寒冷渦という言葉が出てきました。ventuskyというサイトで500hPaの風の流れを見てみましょう🧐

予想天気図気温, 500 hPa, 5500 m, 2024/08/31 18:00 (UTC+09:00), © Ventusky.com

上の図は8月31日18時時点のオホーツク海周辺、500hPaの風の流れと気温を表しています。インコースとアウトコースで風速の差はありますが、風は大きく蛇行しながら西から北東や北に流れているように見えます。

そして5時間後が下の図です。

予想天気図気温, 500 hPa, 5500 m, 2024/08/31 23:00 (UTC+09:00), © Ventusky.com

こちらは8月31日23時時点のオホーツク海周辺の500hPaの風の流れと気温です。樺太上空に低気圧のような反時計回りの渦ができているのが確認できます。5時間前はスムーズに風が流れていたところに、風の渦ができてしまいました。しかも渦の周辺は500hPaの高さで -10度前後。同緯度のエリア(例えば東側のブルー系)と比較して、若干ではありますが、周辺よりも気温が低いことがわかると思います。これが「寒冷渦」です。

2.主要じょう乱の予想根拠と防災事項を含む解説上の留意点


① 1 項①の熱帯低気圧は、北上し 2 日朝までには衰弱する。また、2 日朝には別の低気圧が日本海に発生し、北東進しながら 2 日夜には 1 項②の前線と一体化する。

熱帯低気圧周辺や 1 項①の高気圧縁辺を回って流入する下層暖湿気の影響で、雷を伴った激しい雨や非常に激しい雨が降り、大雨となる所がある。また、熱帯低気圧周辺では、強い風が吹いて、海上はうねりを伴った波が高くなる所があ る。

東日本では 2 日にかけて、土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に厳重に警戒。西日本 では 2 日にかけて、土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に警戒。西~東日本では 2 日にか けて、強風や高波、落雷や竜巻などの激しい突風に注意。
② 2 項①の前線は、2 項②の低気圧と一体化しながら 2 日夜にかけて本州付近にのびて南下する。こ の低気圧や前線に向かって下層暖湿気が流入し、北日本では大気の状態が非常に不安定となり、雷を 伴った激しい雨や非常に激しい雨が降り、大雨となる所がある。また、低気圧周辺や前線近傍では、気圧の傾きが大きくなり、強い風が吹いて、波が高くなる所がある。北日本では 3 日はじめにかけて、 土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に警戒し、強風や高波、落雷や竜巻などの激しい突風 に注意。


③ 3 日は日本海に中心を持つ高気圧に日本付近は次第に覆われる。東日本では滞留する下層暖湿気と日射による昇温で大気の状態が不安定となる。東日本では 3 日は、落雷や突風、急な強い雨に注意。

3.数値予報資料解釈上の留意点

総観場は GSM を基本、量予想や降水分布は MSM や LFM も参考。

4 .防 災 関 連 事 項 [ 量 的 予 報 等 ]

① 雨量 ( 1 8 時 か ら の 2 4 時 間 ) : 東 海 1 5 0 、東 北 ・ 近 畿 、関 東 甲 信 1 2 0 m m 。

②波浪(明日まで):北海道・東北・関東・東海・近畿 3m。

シャック

US-2が飛べそうだ!

③高潮(明日まで):大潮の時期。西日本で は注意報基準を超過する所がある。

5.全般気象情報発表の有無

台風第 10 号に関する情報(総合情報)」(終了情報)を 15 時過ぎに発表。「大雨と雷及び突風に関する全般気象情報」を 17 時頃に発表予定。

天気記号クイズ🥳

天気記号は天気図を見るときに必ず必要になる知識です。しかし、滅多に出てこない天気記号や雪などの季節性のある天気記号はしばらく見ていないと忘れてしまいます。

天気記号のようなものは覚えたり忘れたりの繰り返しです。知識が定着するまで天気記号を楽しみながら見ていきましょう。

問題1 下の現在天気記号はどのような天気の状態を示しているでしょうか?

答え

正解は、「煙」です。

煙のために悪視程になっている気象状態を指します。

煙とは一般的に気体の中に固体または液体の微粒子(10µm程度未満)が浮遊している状態。10µmは、10マイクロメートルと読み、毛細血管の太さと同じ、コピー用紙の1/10の厚さです。よくわからないけどものすごく小さそうです😓

煙の天気記号の本当の由来はわかりませんが、形からいうと煙突から出た煙を図案化したもののように見えますね。比較的覚えやすい天気記号かと思います。

ダチョン

(逆転層が見える…)

問題2 下の現在天気記号はどのような天気の状態を示しているでしょうか?

ヒントはくるくるしてることです。

答え

正解は、「じん旋風」です。

突風の一種で、竜巻と同じように地表付近の空気が渦巻き状に立ち上がる現象です🌀

竜巻と異なる点は、竜巻は積乱雲の下で発生するため上部は雲と繋がっています。それに対して、じん旋風は弱い風の日中帯に発生し、上部に雲がないことが特徴です。雲の有無が竜巻とじん旋風の見分け方であり、しばしば気象予報士試験でも違いを問われることがあります。

ちなみに竜巻の天気記号は次の図です。

問題3 下の現在天気記号はどのような天気の状態を示しているでしょうか?

答え

正解は、「雷電」です。⚡️

ギザギザしているのが雷っぽいですね。天気図でもよく見かけるので覚えやすい記号です。

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