おはようございます☁️
今日から10月ですね。安定して涼しくなってきました。季節の変わり目ですから風邪など引かないよう気をつけていきましょう。
では今日も気象庁発表の短期予報解説資料を読んでいきましょう📕
短期予報解説資料 2024年10月1日03時40分発表
主要じょう乱解説図
台風17号は本州の東側の海上を北へ進んでいますね。12時間毎に緯度にして5度分、距離にすると600kmくらいずつ北へ移動しています。一方、同じ台風でも台湾周辺にある台風18号はほとんど位置を変えずに時間をかけて台湾へ上陸するものと思われます。
なぜこんなにも台風の移動速度に差があるかというと、上層を吹いている風の影響です。台風17号の進行方向左手に上空を北東方向へ流れる強いジェット気流が吹いています。台風17号はこの気流の影響を受けて北に高速で押し上げられています。また台風17号の左手には上層寒冷低気圧もあり、この低気圧の反時計まわりの流れも台風17号の高速の北上に影響していると思われます。
1.実況上の着目点
① 大型で非常に強い台風第18号がバシー海峡付近を西進。台風周辺の下層暖湿気が流入し、南西諸島では雷を検知し激しい雨を解析。また、先島諸島では、やや強い風が吹き、うねりを伴いしけとなっている所がある。
台風18号は台湾とフィリピンの間のバシー海峡を進み、台湾へ向かいます。日本は台風18号から離れているとはいえ、南西諸島、特に先島諸島は台風18号によってもたらされる南からの下層暖湿流によって大気が不安定になります。
② 台風第17号が日本の東を北上。伊豆諸島や小笠原諸島では、強い風が吹き、しけとなっている所がある。また、台風周辺の下層暖湿気が流入し、伊豆諸島及び関東の東では激しい雨を解析。
韓国語で「ツバメ」を意味するチュービーという名前がつけられた台風17号です。チュービーは日本本土に上陸はしないようですが、関東地方の東の海上を通過し伊豆諸島や関東の東で激しい雨を降らせます。
③ 低気圧がオホーツク海にあって、東北東進。前線が日本海、朝鮮半島を通って、華北にのびている。
2.主要じょう乱の予想根拠と防災事項を含む解説上の留意点
① 1項①の台風は、2日夜には台湾付近に、3日には先島諸島付近に進む。南西諸島では、台風周辺の下層暖湿気の影響で、大気の状態が非常に不安定となり、雷を伴った激しい雨が降り大雨となる所がある。また、非常に強い風が吹き、大しけとなる所がある。沖縄地方では2~3日は、暴風やうねりを伴った高波に警戒。南西諸島では3日にかけて、土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水、強風や高波、落雷や竜巻などの激しい突風に注意。また、西日本では3日は、土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水、強風や高波、落雷や竜巻などの激しい突風に注意。
② 1項②の台風は、日本の東を北上し、2日朝までに温帯低気圧に変わる。東~北日本の太平洋側では、台風本体や周辺の下層暖湿気の影響で、大気の状態が非常に不安定となり、雷を伴った激しい雨が降り大雨となる所がある。また、強い風が吹き、海上ではしけとなる所がある。東日本太平洋側では1日は、強風や高波、落雷や突風に注意。伊豆諸島では、土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水、竜巻などの激しい突風にも注意。北日本太平洋側では2日にかけて、強風や高波に注意。
③ 1項③の低気圧からのびる前線上の日本海に、1日朝までに低気圧が発生する。この低気圧は、2日にはオホーツク海へ進み、低気圧からのびる寒冷前線が、2日に東~北日本を通過する。このため、東~北日本では、大気の状態が不安定となる。また、気圧の傾きが大きくなり、風が強く吹き、波が高くなる所がある。東~北日本では2~3日は、強風や高波、落雷や突風、降ひょうに注意。
3.数値予報資料解釈上の留意点
総観場はGSMを基本、量予想や降水分布はMSMやLFMも参考。
4.防災関連事項[量的予報等]
① 雨量(06時からの24時間):多い所(100mm以上)はない。
② 波浪(明日まで):沖縄6、関東・伊豆諸島5、北海道・東北4、東海3m。
5.全般気象情報発表の有無
「台風第18号に関する情報(総合情報)」を5時頃に発表予定。
上層寒冷低気圧を確認
9月30日に九州の南に上層寒冷低気圧が生まれました。上層寒冷低気圧とは、偏西風が大きく南に蛇行した時に大きく曲がりすぎた部分が偏西風の流れから切り離され、作られる低気圧です。下の動画は9月30日の水蒸気画像で上層寒冷低気圧が生まれる瞬間が見えます。台湾の南と小笠原周辺に見える明瞭な白い渦は台風の渦のため、上層寒冷低気圧と間違えないようにしましょう。
動画の中で四国の南にマウスポインタで示した部分が上層寒冷低気圧(UCL)です。
見えましたか?
この上層寒冷低気圧がどのようにできあがったかventuskyの画像で見てみましょう。
次の画像は、9月30日9時時点、300hPaの風の流れの画像で上層寒冷低気圧ができる前の画像になります。
見えにくいですが、九州の南の海上を頂点に尖った偏西風の流れが紫色の矢印で示されています。この時点では上層寒冷低気圧はできていませんが、大きくカーブしているところが今にも霧離れてしまいそうですよね。
次のアニメーションは21時間後の10月1日0時の300hPaでの風の流れです。
九州・四国の南の海上に反時計回りの低気圧性の回転が見えます。これは30日9時時点で偏西風が大きく南にカーブしていた部分が切り離されてできた上層寒冷低気圧です。この低気圧の東には台風17号の渦、南西には台風18号の渦がありますが、いずれにも勝るような規模と風速を持っているように見えますね。
今回の上層寒冷低気圧ができるまで
300hPaの高層天気図から、上層寒冷低気圧ができるまでの様子を見てみましょう。
9月28日9時の300hPa高層天気図
9,600mの等高度線(黄色の線)が南に飛び出し始めました。-33℃の等温線も同じように南に広がっています。
9月29日9時の300hPa高層天気図
9,600mの等高度線がより南に飛び出し明瞭なトラフになっています。等高度線に沿って概ね-33℃の等温線も存在しています。
9月30日9時の300hPa高層天気図
9,600mの等高度線が鋭くとがるようになり、先端がちぎれる気配が強まってきました。等温線も同じように鋭利に尖っています。
10月1日9時の300hPa高層天気図
9,600mの等高度線の南へのとがりの先端がまるでちぎれてしまったかのように四国の南に-33℃の低気圧が取り残されています。北側にあるもともとつながっていた-33℃の等温線の凸になっている部分は、まるで吹き出しのとがりのように日本の東に存在しています。
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