短期予報解説資料24年8月27日

おはようございます。

今日も気象庁から発表されている短期予報解説資料を見ていきたいと思います。

目次

短期予報解説資料24年8月27日03時40分発表

1.実況上の着目点


① 強い台風第 10 号が日本の南を発達しながら西北西進。台風周辺の対流雲がかかり、南西諸島、西~東日本では雷を検知し、局地的に 1 時間に 50mm 以上の非常に激しい雨を解析。

対流雲とは、積乱雲や積雲のことですね。台風は積乱雲の集合体ですから、台風が近づけばその影響を受けます。積乱雲の中は小さな氷の粒が乱気流でぶつかり合い、その摩擦による静電気で雷が起きます。

「非常に激しい雨」は1時間雨量が50mm以上80mm未満です。80mm以上になると猛烈な雨となります。

また奄美地方、西~東日本太平洋側では、うねりを伴い波が高く、大しけとなっている所がある。

余談ですが、うねりには、「土用波」という波があります。数千km南方の台風周辺で発生した波が日本の沿岸まで伝わってくるもので波速は非常に大きく、時には時速50km以上に達することもあるそうです。「大しけ」は波高6m超9mまでです。


② 北日本では、①の台風周辺から下層暖湿気が流入し、大気の状態が不安定となっており、海上では雷を多数検知し、局地的に 1 時間に 50mm 以上の非常に激しい雨を解析。

2.主要じょう乱の予想根拠と防災事項を含む解説上の留意点


① 1 項①の台風は、発達しながら北西進し、27 日は奄美地方に接近、その後北上し西日本に接近する。奄美地方、西日本では次第に風が強まり、猛烈な風の吹く所がある。また、波がうねりを伴って次第に高くなり、猛烈なしけとなる所がある。

「猛烈な風」・・・風速30m/s以上、または最大瞬間風速が50m/s以上の風。風の強さに関する用語では最上位の表現です。

「猛烈なしけ」・・・波高9mを超える波。こちらも波浪の表現として最上位。

29 日にかけて、暴風やうねりを伴った高波に厳重に警戒。

「厳重に警戒」とは、上から2番目に要警戒度が強い言葉です。ちなみに1番は「特別警報級・最大級に警戒」となります。

また、台風本体や外側の発達した対流雲がかかり、西~東日本の太平洋側を中心に雷を伴って非常に激しい雨が降り大雨となる所がある。

台風の中心から200-600kmにある帯状の降雨帯をアウターバンドと呼びます。断続的に激しい雨が降らせたり、竜巻や雷が発生したりします。

29 日にかけて、土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫 に厳重に警戒し、落雷や竜巻などの激しい突風に注意。特に東海地方では 27 日午前中は、線状降水帯が発生して、大雨災害の危険度が急激に高まる可能性がある。なお、台風の動きが遅いため、猛烈な風や波となる時間が長くなり、また、総雨量が多くなるおそれがあることに留意。

線状降水帯・・・長さ50~300km程度、幅20~50km程度の線状に伸びる強い降水域をいいます。300kmだと直線距離で京都-東京くらいまであるのでかなり長い降水帯です。


② 27日朝までに、前線が日本海から北日本にかけてのびる。前線に向かって、台風周辺から下層暖湿気が流入し、大気の状態が非常に不安定となり、雷を伴い非常に激しい雨が降り大雨となる所がある。

また、前線周辺では気圧の傾きが大きくなり、風が強く吹き波が高くなる所がある。

日本海上にある前線の近くに等圧線がたくさん通っています。等圧線が混んでいる場所は他と比べて同じ距離でも気圧の変化が大きいことを示します。これを「気圧傾度が大きい」と表現し、気圧傾度が大きい場所では強い風が吹きます。

北日本では 29 日 にかけて、土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に警戒し、強風や高波、落雷や竜巻などの 激しい突風に注意。

3.数値予報資料解釈上の留意点

総観場は GSM を基本、降水分布は MSM や LFM も参考とする。台風 については最新の台風情報を参照。

4.防災関連事項 [量的予報等]

①雨量(06時からの24時間):奄美300、東海・九州南部200、東北 150、北海道 120、関東甲信・近畿・四国・九州北部 100mm。

②波浪(明日まで):九州南部・奄美 10、 四国 6、近畿・九州北部・沖縄 5、北海道・東海 4、東北・伊豆諸島 3m。

奄美の波浪10mは最高ランクの「猛烈にしける」に該当します。四国6mと近畿・九州北部・沖縄5mは「しける」。4mや3mの場所は「波が高い」と気象用語で言います。

③高潮(明日まで):南西諸島、 西~東日本で注意報基準を超過する所がある。

5.全般気象情報発表の有無

「台風第 10 号に関する情報(総合情報)」を 5 時頃に発表予定。

気象庁HP全般台風情報を参照すると台風のスペックや最新の位置情報を見ることができます。

下に08月27日12時45分に発表された情報を一部記述します。

令和6年 台風第10号に関する情報 第51号付録 (位置詳細)
2024年08月27日12時45分 気象庁発表

実況 27日12時 奄美市の東約110キロ
 大きさ階級 //
 強さ階級  非常に強い
 中心位置  北緯28度20分 東経130度35分
 移動    ゆっくり 西北西
 中心気圧  950ヘクトパスカル
 最大風速  中心付近45メートル 最大瞬間風速 60メートル
 暴風域   半径95キロ
 強風域   東側390キロ 西側220キロ

強さ階級「非常に強い」となっており、最大風速が44m/s以上54m/s未満であることを指します。実際、最大風速の項目を見ると「中心付近45m」となっており、44m/s-54m/s未満の間におさまっていることがわかります。最大瞬間風速のことではないことに注意しましょう。

位置は緯度経度で表現されます。気象予報士試験の勉強をしていれば、緯度経度を見ただけで、日本列島のどのあたりを指すのかを覚えられると思います。

短期予報解説資料24年8月27日15時40分発表

もう一つ、午後に発表された短期予報解説資料も見ましょう。

1.実況上の着目点


① 非常に強い台風第 10 号が、奄美の東海上を発達しながらゆっくり西北西進。

「非常に強い台風」・・・最大風速44 m/s(85ノット)以上~54 m/s(105ノット)未満。

ちなみに台風10号には、「サンサン(Shanshan/珊珊)」という名前が付けられています。香港が提案した名称で、少女の名前が由来だそうです。サンサンって呼んでもいいんですよ。

台風周辺からと太平洋高気圧縁辺からの暖かく湿った空気の影響で、大気の状態が非常に不安定となっており、南西諸島 と西~東日本の太平洋側では、雷を伴った 1時間 20mm以上の強い雨、局地的に1時間 40mm以上の激しい雨を解析。雷を多数検知。

また、奄美地方と西~東日本太平洋側では、うねりを伴った波が高く、奄美地方では猛烈なしけとなっている所 がある。


② 前線が日本海から北日本を通り、千島近海にのびている。前線に向かって①の暖かく湿った空気が流れ込むため、大気の状態が非常に不安定となっており、北海道地方では、1時間 20mm 以上の強い雨を解析。雷を多数検知し、秋田沖でメソサイクロンを検出。

メソサイクロン・・・発達した積乱雲において発生する小規模な低気圧性の循環構造のこと。大きさは、直径2~10kmくらい。通常の低気圧より小さな低気圧のことです。

2.主要じょう乱の予想根拠と防災事項を含む解説上の留意点


① 1 項①の台風は、発達しながら北西進。その後、北に向きを変えて北上し西日本に接近する。この台風の影響により、奄美地方と西日本では、猛烈な風が吹いて、波が高くなり、うねりを伴った猛烈なしけとなる所がある。

「猛烈な風」は、風速がおよそ30m/s以上、または最大瞬間風速が50m/s以上の風。「猛烈なしけ」は、波高9mを超える波浪が発生している状態。

29 日にかけて暴風やうねりを伴った高波に厳重に警戒。

「暴風」とは、暴風警報基準以上の風。暴風警報の基準値は、地方によって異なりますが、参考に東京地方を例にすると東京23区で陸上 25m/s、海上 25m/s。 多摩地区で25m/sとなります。

また、台風本体や外側の発達した対流雲がかかり、奄美地方と西日本及び東日本の太平洋側では、雷を伴って非常に激しい雨が降り、大雨となる所がある。

「非常に激しい雨」は1時間に50mm以上80mm未満の雨。「大雨」とは、災害が発生するおそれのある雨。

29 日にかけて、土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に厳重に警戒。奄美地方は高潮にも厳重に警戒。落雷や竜巻などの激しい突風に注意。特に、奄美地方 や九州南部では 28 日にかけて、線状降水帯が発生して大雨災害の危険度が急激に高まる可能性がある。

なお、台風の動きが遅いため、猛烈な風や猛烈なしけとなる時間が長くなり、総雨量が多くなるおそれがあることに留意。


② 1 項②の前線や 1項①の暖かく湿った空気の影響により、大気の状態が非常に不安定となり、雷を伴った激しい雨が降り、大雨となる所がある。

「激しい雨」とは1時間に30mm以上50mm未満の雨。

また、前線周辺では気圧の傾きが大きくなり、強い風が吹いて、波が高くしけとなる所がある。北日本では 29 日にかけて、土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に警戒し、強風や高波、落雷や竜巻などの激しい突風に注意。

3.数値予報資料解釈上の留意点

総観場はGSMを基本、量予想や降水分布はMSMやLFMも参考。台風については、最新の台風情報を参照。

4.防災関連事項[量的予報等]

①雨量(18時からの24時間):奄美400、九州南部300、東海200、 東北・四国 120、北海道・関東甲信・近畿・九州北部 100mm。

②波浪(明日まで):九州南部・奄美 10、 四国・九州北部・沖縄 5、北海道・東海・近畿 4、東北 3m。

③高潮(明日まで):奄美地方では警報基準 を、北陸地方と近畿地方では注意報基準を超過する所がある。

5.全般気象情報発表の有無

「台風第10号に関する情報(総合情報)」を17時頃に発表予定。

以上、24/8/27の気象庁からの短期予報解説資料でした⸜( ˙꒳˙ )⸝

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