こんにちは。今回は空港に注目してみましょう。
一般的な旅客機は機体そのものが学校の体育館くらいの大きさがあり、その離着陸には2km-4km程度の距離を要します。そのため、それを受け入れる空港自体もとても大きな規模を必要とします。🛫
日本最大の羽田空港は3000m級の滑走路×2本と2500mの滑走路×2本の計4本の滑走路があり、空港の敷地面積は1522ヘクタール(15.22平方キロメートル)に及びます。
上空から航空写真で見ても空港があることが一目でわかります。この広大な敷地に5万人以上もの人が毎日働いており、もはや一つの町と言っても過言ではありませんね。
そんな空港の最も重要な施設といえるのが滑走路です。滑走路がなんらかの理由で機能不全に陥ると空を飛んでいる飛行機は着陸できなくなり、地上にいる飛行機も空港から出られなくなります。
空港にとって重要な滑走路ですが、高速で移動する航空機の離着陸で頻繁に使われているため使用不能に陥るような事態は珍しくありません。滑走路が使えなくなる理由として最も多いのが滑走路上に物が落ちているときです。もちろん滑走路上に石やゴミなど、飛行機にダメージを与えるものが無いよう常に管理者によってきれいに保たれています。
しかし離着陸機が鳥のような避けようのない障害物に当たってしまうことが時々あります。これをバードストライクといいます。
もちろん飛行機自体は鳥にぶつかっても安全に飛行を継続できるように設計されているのですが、当たった鳥の死骸などが滑走路に落ちてしまうとそれを取り除いて滑走路の安全な状態が確認されるまでの間、次の飛行機が離着陸を行うことができなくなるのです。
そのため空港には滑走路や飛行機が常に安全に運用できるようにバードパトロールなどの鳥が飛行機に近づかないように追い払う係の人がいます。
さてでは一例として羽田空港を上空から滑走路を見てみましょう。空港のレイアウトがこんな感じです。
赤いところが滑走路です。
それぞれの滑走路には名前がついています。例えば羽田空港では西側から時計回りにA滑走路・B滑走路・C滑走路・D滑走路のように4つの名前が付けられています。また通常、1本の滑走路は両方の端から使用できます。つまり1本の滑走路には2パターンの使い方があり、その使い方によって滑走路の名称が異なります。
次の写真はA滑走路の南端をズームしたものです。「34L」(通常、”スリーフォーレフト”と読む)という文字が記載されています。これはアスファルト上にペイントされています。航空写真でもよくわかりますね。「34L」の数字の意味するところは方位磁石でいうところの340°の方角という意味です。方位磁石が北を示したところを360°としてこの滑走路は340°(およそ)の方角に向かって伸びているということになります。もし飛行機がこの滑走路から離陸滑走してこのまま真っ直ぐに飛べば340°の方角、つまり北方向から20°ほど西側にずれた方角に飛んでいけるということになりますね。
ちょっと話を進めて。では「34L」(スリーフォー レフト)の”L”(レフト)の部分の意味。これはそのままずばりレフト(左側)という意味になります。何に対して左側かと言えば羽田空港でいうと東側に「34R」(スリーフォーライト)という滑走路名があるんです。つまり羽田空港には同じ方角に伸びる滑走路が2本あってその2本の呼び名を使い分けるために”L”(レフト)と”R”(ライト)と名前が付けられているんですね。一つの空港に同じような方角に伸びる滑走路が他になければ通常は方位を示す2桁の数字のみが滑走路の名前になります。
「34L」の意味がわかったところで同じ滑走路を反対側の方角から使う場合、「16R」(ワンシックス ライト)というように名前が変わります。滑走路は直線的なものなので340°に伸びる直線を逆側から見れば180°ぶん数字がずれて160°になります。「16」は160°の方角ってことですね。そして160°の方向に伸びる滑走路として見ると同じ方角に伸びる他の滑走路から見て右側に位置するように見えますね。そのため「16R」という名前の滑走路になります。
ちなみに北は000°ではなく360°になります。よって北を向いた滑走路も滑走路00とはならず、滑走路36になります。
以上、滑走路の名称について説明させていただきました。滑走路の名称は航空無線でもよく登場します。使用する滑走路が分かれば飛行機がどの方角から着陸してくるのかをいち早く知ることができるため今回の知識は覚えておくととても便利です。
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