竜巻

竜巻は台風などに比べるとスケールの小さな現象ですが、破壊力で言うと大気現象の中で最強の部類です。

竜巻として必要な要件

☑️ 積乱雲や積雲を伴っていること
☑️ 地面や海面に触れていること

竜巻は積乱雲や積雲を伴う上昇流の渦であり、雲の底から地面や海面までつながったものを言います。竜巻のような渦があっても上空に雲がなければそれは竜巻ではなく、つむじ風と呼ばれます。また、上空に雲があっても漏斗状の垂れ下がりが地表面まで届いていなければ、竜巻ではなく漏斗雲(ろうとぐも)になります。

竜巻のでき方

竜巻のでき方はシンプルです。くるくると回る渦管ができ、それが雲と地表を繋げば竜巻の出来上がりです。

渦管は、空気がロールケーキのように渦を巻いて管状になっているものです。竜巻の場合、ロールケーキを立てて水平方向に渦を巻いている状態ですが、ロールケーキが横に置いてある状態の渦管でも竜巻はできます。上昇気流がロールケーキの片側を下から上に持ち上げてロールケーキを立ててくれれば、竜巻になるからです。

では渦管はどのようにできるのか。渦管は冷たい空気と温かい空気のぶつかり合いで作られます。

竜巻が発生しやすくなる環境は?

竜巻は、積乱雲や積雲の存在を必要とするため、それらができている環境で発生します。
竜巻が発生する環境の割合は次のとおりです。

・前線        約60%
・台風や熱帯低気圧  約25%
・その他(低気圧など)  約15%

ただ自然界の小さな現象である竜巻は人が全てを補足できているわけではありません。

⚠️つむじ風とは別物です

竜巻と似た現象で「つむじ風」があります。同じように渦を巻いた現象ですが明確に区別されています。最も大きな違いは、渦の上に雲があるかどうかです。

項目竜巻塵旋風(つむじ風)
発生原因積乱雲(雷雲)の強い上昇気流によって発生する渦巻き地面が強く加熱されることで地表付近の空気が上昇し、風のずれなどで渦が発生
発生場所雷雨や前線の通過時など、積乱雲の下晴天で日射が強い日、地表の広い場所(運動場や畑など)
規模・直径数十メートルから数百メートル(10m〜600m程度)数メートルから数十メートル程度の小規模
寿命数分から数十分と比較的長い数秒から数分と短い
風速・破壊力非常に強く、秒速100mを超えることもあり、甚大な被害をもたらす風速は比較的弱く、テントを飛ばす程度の被害が多い
見た目積乱雲から垂れ下がる漏斗状の雲を伴う雲は伴わず、土ぼこりや砂埃が巻き上がることで渦が見える

積乱雲が発達する条件


☑️ 暖かく湿った空気があること
☑️ 大気が不安定であること
☑️ 空気を持ち上げるメカニズムがあること
空気を持ち上げるメカニズムとは
 ・対流性上昇気流
 ・前線性上昇気流
 ・低気圧性上昇気流

竜巻は『巨人の掃除機』

竜巻は大気現象の中では小規模で短時間なものであるため、発生場所を予測し観測することが難しい。竜巻で記録されたことがある低気圧は2003年6月24日にアメリカ・サウスダコタ州で観測された850hPaという記録があります。竜巻が通過するまでは950hPa程度あった大気で、竜巻が通過す10秒間程度で100hPaも気圧が急降下したことになります。まるで頭上をパワーMAXの掃除機が通過したくらい気圧が下がる勢いです。人がカーペットのホコリのように吸い込まれてしまいます。

スーパーセル型竜巻

セルとは、細胞を意味しココでは単一の積乱雲のことを指します。つまりスーパーセルとは大きな1つの積乱雲のことを言います。

“普通の竜巻”とスーパーセルの大きな違いは、サイズではなく構造にあります

スーパーセルは竜巻製造マシーン

スーパーセルは上昇流と下降流の場所が棲み分けられていて、お互いの通路を干渉しない構造です。それぞれの流れがぶつからないスムーズなシステムなので数時間にわたって対流が起きる長寿命の積乱雲です。普通の積乱雲なら数十分ほどの寿命です。

スーパーセル自体もメリーゴーランドのようにゆっくりですが回転します。ただまだこの回転が竜巻になるわけではありません。

スーパーセルの構造

・上昇流の通路
・下降流の通路
・ヴォルト

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