飛行機の危険な残り香?後方乱気流について

後方乱気流とは、飛行機が通過した後に後方に発生する乱気流のことを指します。

この気流が乱れた空間は少しずつ移動しながらしばらく存在します。乱気流ですのでその空間に別の飛行機が入ってしまうと揺れなどの影響を受けます。場合によっては機体の制御を失い、墜落事故に至らしめることもある危険な現象なのです。

後方乱気流を特に気をつけなければいけない場所は頻繁に離着陸が行われる空港周辺の空域です。

特に滑走路から離陸した後と滑走路へ向かうまでの進入経路は絶え間なく飛行機が同じ空間を飛行しており、後方乱気流に遭遇する可能性が高いです。

また離着陸の前後では飛行機の高度が低いため、後方乱気流に襲われて制御不能に陥った際にリカバリーする時間がないまま地上に激突することになります。

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後方乱気流により引き起こされた事故

後方乱気流による事故は最近でも発生しています。

2008年11月4日、メキシコ内務長官が乗ったチャーター機が墜落事故を起こしました。メキシコシティ国際空港へ着陸のために進入中だった当該機リアジェット45(全長18mの小さめの機体)が、先に進入中だったB767型機(全長55m)が発生させた後方乱気流の中に入り、制御不能のまま急降下。メキシコシティの金融街に墜落しました。この事故でメキシコ内務長官を含む搭乗者9名全員死亡。墜落地点では地上にいた7人の死者と多くの負傷者を出しました。

後方乱気流は一定の距離と時間をおけばその影響を受けることはほとんどなくなるのですが、この事故の際、事故機は先行を飛行していたB767型機と5マイル(9.3km)の距離をあけて飛行しなければいけなかったところを4.1マイル(7.6km)の距離まで近づいてしまったためにB767型機の後方乱気流に巻き込まれてしまいました。

事故の報告書では、事故機がB767型機の後方乱気流に巻き込まれた原因として、パイロットがリアジェットの適切な訓練を受けていなかったこと、パイロットによる減速が遅れたこと、管制官が早すぎる進入速度を訂正しなかったことなどが原因として指摘されました。


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