2025年1月29日アメリカン航空5342便空中衝突事故について

こんにちは。

今回は2025年1月にアメリカ、ワシントンDCで発生したアメリカン航空5342便空中衝突事故についてまとめていきます。この事故は現在、原因を調査中の事故であるためここでの記述はニュース等の情報と筆者の考えに基づきます。誤情報もあるかもしれないので、ご指摘いただければ幸いです。

目次

アメリカン航空5342便空中衝突事故

事故概要

  • 発生日時: 2025年1月29日
  • 場所: アメリカ合衆国、ワシントンD.C.近郊のロナルド・レーガン・ワシントン・ナショナル空港付近
  • 機材: アメリカン航空5342便(ボンバルディア CRJ-700型機(全長30m 70席前後))と米軍のヘリコプター

事故の詳細

  • アメリカン航空5342便はワシントン空港へ着陸寸前にあり、空中で米軍ヘリコプターと衝突
  • 両機には合計67人が搭乗しており、全員が死亡
  • 地元消防当局は、事故後に41人の遺体を収容し、28人の身元を確認したと報告しています。

現時点で確認されている事項

事故原因は調査中ですが現時点で以下のことが確認されています。

  • 旅客機は定められた飛行経路を通常通り飛行していた
  • 管制官は旅客機とヘリコプターの衝突の危険性を認識できていた
  • ヘリコプターは「関連機は見えている」と言ったがどの飛行機を指しているのかはまだわかっていない
  • ヘリコプターは本来の飛行高度より高い高度を飛行していた

現時点で指摘されている原因

  • 初期の調査によると、米軍ヘリは定められた航路の最高高度を超えて飛行していた可能性があり、衝突時には旅客機から警告が発せられていたことが確認されています。
  • 管制官の「CRJ機を見ながら後方を飛行せよ」の指示に米軍ヘリが別の機体を目視して飛行して可能性が指摘されています。
  • 国家運輸安全委員会(NTSB)の調査も進行中で、詳細な原因究明が行われています。

日本の空港でも起きうるのか

今回のような事故は日本の空港でも起きる可能性はあります。今回のケースに似たような飛行は日々行われているからです。

旅客機の離着陸数が多い空港では、着陸経路や離陸経路などには小型機の進入が禁止されている空域があります。しかし、今回の事故のときのように管制官の許可があれば通過できます。

このような制限のある空域の小型機の飛行は日本でも行われています。

管制官「関連機が見えたらパイロット自身で距離をとれ」のワナ

今回の事故では管制官とヘリコプターのパイロットとの間で事故直前に以下のようなやりとりが行われていました。

管制官👨‍🏭「CRJ機は見えているか?」
この問いにヘリのパイロットは、
ヘリ🚁「見えている」
と答えたようです。そして管制官は、
管制官👨‍🏭「その飛行機の後ろを通過せよ」

このやりとりには疑問が残る点があります。
それは、

  • 管制官が示したCRJ機とヘリコプターが視認していたCRJ機が一致していたのか
  • ヘリのパイロットはCRJ機の機種を見分けることができていたのか

という点です。

ワシントン空港は街中の空港で滑走路が短く、CRJ機などの小型機が多く飛んでいます。事故当時も空港周辺に複数のCRJ機が飛行しており、管制官が意図したCRJ機とヘリのパイロットが意図したCRJ機が異なっていた可能性があります。


また夜間は空中にいる飛行機の種類を見分けるのは極めて困難です。ヘリのパイロットは「見えている」と言ったがCRJ機を本当に見分けることができていたのかも疑問が残ります。

衝突の際の映像を見るとヘリコプターは旅客機に速度を落とすことなく衝突したように見えます。ヘリのパイロットが衝突した旅客機を認識できていたのかが事故調査の焦点になりそうです。

関連機を細かく判別することは不可能な現実

ここまでヘリコプターパイロットに落ち度があったような書きぶりになってしまいましたが、決してヘリコプターのパイロットを責めるわけではありません。多くのパイロットは日常から機種を見分けられているわけではないからです。

管制官からの関連機の情報には必ず、

  • 関連機の位置と高度
  • 関連機の機種

が含まれていますが、遠くから機種を認識できているパイロットはおそらくほぼいません。管制官から関連機の情報をもらうときは基本的に2kmから20kmほど離れていますが、その段階で飛行機の機種を見分けることは不可能です。

まして夜の暗い中ならなおさらです。

関連機を取り違えることは珍しくない

今回の事故原因が、関連機の取り違えなのかは分かりませんが、2015年に鹿児島空港でも関連機を取り違えて旅客機と小型機が接近する事案がありました。
この時は、小型機のパイロットが管制官からの「先行機に続いて飛行せよ」の指示で、誤った飛行機に追いかけてしまい、着陸態勢の旅客機と異常接近しました。

パイロットは基本的に管制官の指示に従い飛行しますが、
「あの飛行機の後ろを飛行せよ」とか
「あの飛行機を追いかけて飛行せよ」
と言った場合、「あの飛行機」の認識が管制官とパイロットで一致していなければ指示が成立しません。
間違えた関連機を見て飛行すれば間違った結果、危険な事態に陥るのは目に見えてますね。

2015年10月10日鹿児島空港でのインシデント

航空事故調査報告書 https://jtsb.mlit.go.jp/aircraft/rep-inci/AI2016-6-1-JA8364-JA80CT.pdf

事故の衝撃

アメリカの首都ワシントンの街中で発生した空中衝突事故であり、世界中に大きな衝撃を与えました。特に事故現場となったロナルド・レーガン・ワシントン・ナショナル空港は、空港の5km北にホワイトハウス、北西には国防総省ペンタゴンがあるアメリカ政府中枢に最も近い空港です。

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