短期予報解説資料24年8月28日

おはようございます。

今日も気象庁の短期予報解説資料を見ていきましょう。

目次

短期予報解説資料 24年8月28日03時40分発表

1.実況上の着目点


① 非常に強い台風第 10号が、奄美市の北東の海上を発達しながらゆっくり北北西進。 南西諸島、西~東日本では、台風周辺と太平洋高気圧縁辺からの暖かく湿った空気の影響で、大気の状態が非常に不安定となっており、雷を多数検知。

気象庁HPより(編集あり)

時計回りの太平洋高気圧と反時計回りの台風10号に挟まれたエリアで南の海上から暖かくて湿った風が日本列島に吹き込んでいることがわかります。

東海地方では、1時間におよそ 70mm の雨を解析。台風に近い奄美地方では、猛烈な風が吹き、海上ではうねりを伴った猛烈なしけとなっている所がある。

70mm/hの雨は「非常に激しい雨」。傘は全く役に立たなくなります。屋内に避難しましょう。「猛烈な風」は風速がおよそ30m/s以上、または最大瞬間風速が50m/s以上の風。「猛烈なしけ」は波高9mを超える状態です🌊


② 前線が日本海から北日本を通り、千島近海にのびている。前線に向かって①の高気圧から暖かく湿った空気が流れ込むため、 大気の状態が不安定となっており、北陸地方では、1時間およそ80mmの雨を解析、雷を検知。

80mm/hの雨は「猛烈な雨」であり、「息苦しくなるような圧迫感がある。恐怖を感ずる。」そんな雨です。

2.主要じょう乱の予想根拠と防災事項を含む解説上の留意点


① 1項①の台風は、発達しながら北上し、29日にかけて非常に強い勢力を保って九州南部に接近する。 この台風の影響により、奄美地方と西日本では、非常に強い風や猛烈な風が吹いて、海上ではうねりを伴った大しけとなり、局所的には猛烈なしけとなる所がある。

台風「非常に強い」は最大風速44 m/s(85ノット)以上~54 m/s(105ノット)未満。「非常に強い風」は風速が20m/s以上30m/s未満の風。「猛烈な風」は風速がおよそ30m/s以上、または最大瞬間風速が50m/s以上の風。「大しけ」は波高6mをこえ9mまで。「猛烈なしけ」は、波高9m超え。

30日にかけて暴風やうねりを伴った高波に厳重に警戒。また、台風本体や外側の発達した対流雲がかかり、奄美地方と西日本及び東日本 の太平洋側では、雷を伴った非常に激しい雨や猛烈な雨が降り、大雨となる所がある。

「非常に激しい雨」は、1時間雨量50mm以上~80mm未満。「猛烈な雨」は80mm/h以上の雨量です。

30日にかけて、 土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に厳重に警戒。奄美地方は高潮にも厳重に警戒。落雷 や竜巻などの激しい突風に注意。特に、奄美地方や九州南部では 29日夜にかけて、線状降水帯が発生して大雨災害の危険度が急激に高まる可能性がある。なお、台風の動きが遅いため、猛烈な風や猛烈なしけとなる時間が長くなり、総雨量が多くなるおそれがあることに留意。


② 1 項②の前線や 1 項①の暖かく湿った空気の影響により、大気の状態が非常に不安定となり、雷を伴った激しい雨が降り、大雨となる所がある。また、前線周辺では気圧の傾きが大きくなり、強い風が吹いて、波が高くしけとなる所がある。

東北地方ではこれまでの大雨により、土砂災害、浸水害、 洪水の危険度が高まっている所がある。前線の影響を受けやすい東北地方や北陸地方では、30 日にか けて土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に厳重に警戒し、北日本では強風や高波、落雷や竜巻などの激しい突風に注意。

3.数値予報資料解釈上の留意点

総観場はGSMを基本、量予想や降水分布はMSMやLFMも参考。台風については、最新の台風情報を参照。

4.防災関連事項[量的予報等]

①雨量(06時からの24時間):九州南部500、九州北部・奄美300、 四国 250、東海 200、東北・近畿 120、北陸地方 100mm。

②波浪(明日まで):九州南部・奄美 10、四国・ 九州北部 7、近畿 6、東海 5、伊豆諸島・沖縄 4、関東・中国 3m。

波浪に関する実況図と予報図も気象庁が発表しているので、そちらも確認しておきましょう。(気象庁 沿岸波浪実況図)

過去の気象予報士試験の実技でも出題されたことがあるので、見慣れておくだけでも損はありません。

気象庁HPのFWJP予報図を編集

③高潮(明日まで):奄美地方では警報基準を、西日本や東日本では注意報基準を超過する所がある。

5.全般気象情報発表の有無

「台風第10号に関する情報(総合情報)」を05時頃に発表予定。

台風の低気圧中心は上空までまっすぐ

台風の中心は風向の鉛直シアが少なく、まっすぐ上空へ伸びています。イメージとしては台風の中心に鉄パイプのような芯が地面に直立するように入っている状態を思い浮かべましょう。このように軸が上空まで安定していることで対称性が維持されていることが台風の勢力が強い所以です。

では今回の台風10号(サンサン)の高層天気図で確かめて見ましょう。

下の天気図は24年8月28日0000UTCの各高度における天気図です。

  • 地上
  • 高度1500m
  • 高度3000m
  • 高度5500m
  • 高度9600m

各天気図の九州の南にある台風の位置に注目しましょう。

地上天気図08280000UTC切り抜き
850hPa天気図 高度1500m(編集あり)
700hPa天気図 高度3000m(編集あり)
300hPa天気図 高度9600m(編集あり)
500hPa天気図 高度5500m(編集あり)

いずれの高度でも台風中心が北緯29度、東経130度にあることがわかりますね。つまり台風中心は地上からまっすぐ真上に伸びていることになります。これは台風の大きな特徴ですね。

鹿児島県で特別警報発表

8月28日に台風10号に関連して、気象庁は鹿児島県の各地域に「暴風特別警報」「波浪特別警報」「高潮特別警報」を発表しました。詳細は気象庁HPをご覧ください。

特別警報は、気象庁が定める警報の中で最もランクの高いもので、いずれも数十年に一度の現象が予想される場合に発表されます。

今回は以上になります。台風の影響が各地に出始めましたね。台風の動向を注視していきましょう。

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