おはようございます。
相変わらず台風10号がゆっくりと日本列島を通過しています。こんなに速度が遅い台風は珍しいですね。
台風から離れていても大雨に遭うこともあるので天気状況はこまめに確認しましょう。
短期予報解説資料 2024年8月31日03時40分発表
1.実況上の着目点
① 台風第10号は、西日本を東進。 西日本や東日本太平洋側では台風本体や周辺の下層暖湿気の影響で、雷を伴い激しい雨を解析。
② 500hPa 5,820mのトラフに対応して千島近海を東北東へ進む低気圧から前線が北日本にのびている。近傍で雷を検知、強い雨を解析。
③ 沿海州付近を東南東進する500hPa 5,640m 付近で-12°C以下の寒気を伴うトラフと、この前面に流れ込む台風周辺の下層暖湿気の影響で、日本海では活発に発雷し、非常に激しい雨を解析、メソサイクロンを検出。
2.主要じょう乱の予想根拠と防災事項を含む解説上の留意点
① 1 項①の台風は、9月1日にかけて西日本から東海地方をゆっくり東進。台風本体や周辺の下層暖湿気の影響で、雷を伴った非常に激しい雨が降り、大雨となる所がある。
台風の動きが遅いため、総雨量が多くなるおそれがある。西日本では 31 日は、東日本では 9 月 1 日にかけて、土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に厳重に警戒。西~東日本では 9 月 1 日にかけて、落雷や竜巻などの激しい突風に注意。近畿地方では引き続き 31 日午前中にかけて、東海地方では引き続き 9 月 1 日午前中にかけて、線状降水帯が発生して大雨災害の危険度が急激に高まる可能性がある。
また、台風周辺では、強い風が吹き、海上はうねりを伴い波が高くなり、しける所がある。強風や高波に注意。
② 1 項②の前線を伴う低気圧は千島の東へ進む。また、1 項③のトラフは 31 日は北日本へ、9 月 1 日 にかけてカムチャツカ半島に進む。
対応して 31 日朝までに日本海北部に発生する低気圧が発達しながらオホーツク海に進み、前線が北日本を通過する。低気圧や前線に向かう下層暖湿気の影響で、北日本では大気の状態が非常に不安定となり、雷を伴った激しい雨が降り大雨となる所がある。また、前線や低気圧周辺では気圧の傾きが大きくなり、強い風が吹き、波が高くなり、しける所がある。北日本では、9 月 1 日にかけて、土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水、強風や高波に注意し、31 日は落雷や竜巻などの激しい突風に注意。
3.数値予報資料解釈上の留意点
総観場はGSM を基本、量予想や降水分布は MSM や LFM も参考。台風の予想については不確実性が大きい。最新の台風情報を参照。
4.防災関連事項 [量的予報等]
①雨量(06 時からの 24 時間):東海 300、近畿 200、関東甲信 150、 北海道・四国 120、伊豆諸島・北陸 100mm。
②波浪(明日まで):北海道・伊豆諸島・東海・近畿 4、東北・関東・中国・四国・九州北部 3m。
③高潮(明日まで):西~東日本で注意報基準を超過する所があり、北陸西部で警報基準に近づく所がある。
5.全般気象情報発表の有無
「台風第 10 号に関する情報(総合情報)」を 5 時頃に発表予定。
iPhoneで短期予報解説資料を読む習慣をつけよう!
短期予報解説資料は気象予報士の勉強にとても役に立つ資料ですが、毎日見るのには少し億劫だったりします。
そこで短期予報資料をアプリ化してスマホで簡単に見れるようにしてしまいましょう。
アプリ化すればワンタッチで最新の短期予報解説資料が読めてとても便利です。
短期予報解説資料を読むまでのハードルを減らせば、読む習慣がきっと身について気象の知識がつきやすくなるはずです!
ここからはiPhoneでアプリ化する手順を書いていきます。
検索エンジンで「短期予報解説資料」と検索すれば気象庁のページが出てきます。
気象庁 短期予報解説資料:https://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/data/jishin/kaisetsu_tanki_latest.pdf
出来上がりです!
以上、最新の短期予報解説資料ページのアプリ化でした。
500hPa天気図の着眼点
⚠️気象予報士の勉強をしたことがない人にはかなりマニアックな話になってしまいます。
普段、天気予報で目にする天気図は地上天気図ですが、気象の予測をするためにはもっと細かい高度に分類して気圧や気温などを見ていく必要があります。飛行機が飛んだり、雲ができたりして我々が普段馴染みがある大気は、対流圏という高度10km程度までの空間なのです。その上は成層圏、中間圏、熱圏とありますがここでは放っておきましょう。
とりあえず気象予報を考えるにあたり、主に高度10kmまでの対流圏を考える必要があります。そして500hPa天気図というのはおよそ高度5.5km、つまり気象現象が起きる対流圏のちょうど中間地点の高度の気圧面を指します。ちなみに地上の気圧はおよそ1,000hPa前後です。
山に登る時も上にいくに従って気圧が下がっていくよね🌋
夏と冬では高さも変わる500hPa天気図
500hPaといっても気温などにより高度は変わります。
・夏の500hPaは、高度5,800m程度に上がる
・冬の500hPaは、高度5,400m程度に下がる
下の図は、夏と冬の同じ500hPaの気圧の高度を比べたものです。
夏場の500hPa面は高度5,800mなのに対して冬場の500hPa面は高度5,400mまで下がってしまいます。この違いは、気温により空気が膨張したり圧縮したりすることにより起こります。空気の温度が高いと空気は膨張し、体積が増えて500hPa面が高くなります。反対に空気の温度が低いと空気は収縮し、体積が減り500hPa面が低くなります。
5,880m以上の等高度線は太平洋高気圧の勢力圏
教科書的な言い方だと500hPa天気図にある5,880mの等高度線は太平洋高気圧の勢力圏を表し、日本の夏場に晴れた夏空をもたらします。また台風は太平洋高気圧の縁辺に沿って移動する習性があり、太平洋高気圧の位置によって台風の進路を予測することもできます。
500hPa天気図で強風軸を見つけよう
500hPaの強風軸は、地上の温帯低気圧に関わる前線が「閉塞」しているかどうかを判断するときに活用されます。500hPa強風軸の見つけ方は一度覚えてしまえばシンプルです。
おまけ:間違った矢羽を見つけよう
ここでクイズを一つ出します。
問題 下の絵の4つの矢羽の中に間違えて書かれた矢羽があります。どれでしょう?
答え
正解は、イ。
矢羽の羽をつける方向を間違えています。羽は風の進行方向を軸にした時計回りの方向(右側)につけるのが正しい書き方です🕰️
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