短期予報解説資料を読もう!9月3日

おはようございます☁️

今日も気象庁発表の短期予報解説資料を読んでいきましょう。

目次

短期予報解説資料 2024年9月3日03時40分発表

主要じょう乱解説図

1.実況上の着目点


① 停滞前線が千島の東から日本の東を通り、東日本付近にのびている。

「千島の東」「日本の東」。一応、場所が定義されているので確認しておこう!

ラッコ

「千島の東」「日本の東」。一応、場所が定義されているので気象庁の地名図で確認しておこう!

地名図 出典:気象庁HP
9月3日3時地上天気図 出典:気象庁HP

前線に向かって、太平洋高気圧の縁辺を回る下層暖湿気が流入し、大気の状態が非常に不安定となっており、三陸沖から関東の東では 1 時間 70mm、東日本では 1 時間 50mm の非常に激しい雨を解析し、雷を多数検知している。

この一週間、太平洋高気圧の縁辺流によって大気の状態がずっと不安定でしたね。

縁辺流・・・高気圧の縁を回る湿った空気の流れ。縁辺流が強い時には前線や低気圧を伴わなくても大雨となることがある。(気象庁HPより)
また日本に接近する台風は太平洋高気圧の縁辺流に流されて進路が決まることが多い。

関東の東では1時間 70mm、東日本では 1 時間 50mm←非常に激しい雨(1時間雨量が50mm以上80mm未満)


② サハリンから日本海の500hPa 5640~5820m には-12°C以下の寒気を伴ったトラフがあって東進。

数値予報天気図 FXFE502 24年9月2日更新 (FXFE天気図に500hPaで-12℃のエリアを塗っています)

500hPaの等高度線の天気図は気象予報士試験に必ずと言っていいほど出ますので、見慣れておきましょう。等高度線は、60mごとに引かれています。


③ 小笠原諸島の東海上には熱帯低気圧があって、ゆっくり北上。

2.主要じょう乱の予想根拠と防災事項を含む解説上の留意点


① 1 項①の前線は、3 日朝にかけて東日本を南下(次第に陸上にかからなくなる)し、その後、4 日にかけて関東の東に停滞する。前線や東日本に向かって太平洋高気圧の縁辺を回る下層暖湿気が流入し、 東日本では大気の状態が非常に不安定となるため、雷を伴った非常に激しい雨が降り、大雨となる所がある。

台風第 10 号や台風から変わった熱帯低気圧によるこれまでの大雨により、地盤の緩んでいる所があり、少しの雨でも土砂災害の発生するおそれがあることに留意。東日本では 4 日にかけて、土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に警戒し、落雷や竜巻などの激しい突風に注意。


② 日本付近は、5 日にかけて日本海に中心を持つ高気圧と千島の東に中心を持つ高気圧に覆われて晴れる所が多くなる。

一方、1 項②のトラフが、4 日にかけて日本付近を通過する。また、日中は日射による気温の上昇や太平洋高気圧の縁辺を回る下層暖湿気が流入するため、大気の状態が非常に不安定となる所がある。西~東日本では 5 日にかけて、落雷や突風、急な強い雨、局地的には竜巻などの激しい突風に注意。


③ 5 日朝には、沿海州から華北にかけて前線が形成されて、サハリン付近まで東進する。

出典:気象庁HP(編集あり)
出典:気象庁
出典:気象庁

前線近傍では、気圧の傾きが大きくなり、強い風が吹いて、波が高くなる所がある。北日本では 5 日は、強風や高波に注意。


④ 1 項③の熱帯低気圧は、引き続き北上し 5 日には不明瞭になる。また、4 日までには別の熱帯低気圧が小笠原近海で発生し、小笠原諸島に近づくおそれがある。今後の資料に留意。

3.数値予報資料解釈上の留意点

総観場は GSM を基本、量予想や降水分布は MSM や LFM も参考。GSM、MSM ともに 4 日にかけて、東海沖に低圧部 (主要じょう乱解説図では表現していない)が予想されている。この低圧部について、MSMの予想は過発達と考えられるため、不安定度については割り引いて考える。

4.防災関連事項 [量的予報等]

①雨量(06時からの24時間):伊豆諸島150、関東甲信・東海100mm。

②波浪(明日まで):高い所(3m以上)はない。

シャック

救難飛行艇US-2✈️がどこでも飛べる…!! (←波高3mまで着水可能)

救難飛行艇 US-2 (出典:海上自衛隊HP)
シャック

<US-2小話>
US-2の「波高3mで着水可能」というのは世界中の飛行艇と比べても優秀な性能なんだ。この性能を実現させているのは、機体下の縁に装備されている「溝型波消し装置」のおかげ。(下図参照)この装置のおかげで、着水時にエンジン故障につながる波しぶきを抑えることができるんだよ。

出典:新明和工業HP

③高潮(明日まで):大潮の時期。九州北部地方と小笠原諸島では、注意報基準を超過する所がある。

5.全般気象情報発表の有無

発表の予定はない。

おまけ

天気記号クイズ🥳

??「一日一字を記さば、一年にして三百六十字を得る…!」

問題1 下の天気記号はどのような天気の状態を示しているでしょうか?2種類あります。

2つは、似た形ですね。違いがよく問われます。

答え

正解は、①が「あられ」、②が「ひょう」です。

どちらも降ってくる氷のかたまりですが、違いは直径の大きさです。

① あられ(霰)が、直径5mm未満

② ひょう(雹)が、直径5mm以上

になります。ひょうの記号は黒く塗りつぶされていて、大きくて凶悪な印象があり、覚えやすいですね🧊😈

大きさの要件も含めて覚えておきましょう。

また氷のかたまりは大きくなるほど落下速度が増し、直径50mmを超えると時速100km超えの速度で落下してきて大変危険です。

問題2 下の天気記号はどのような天気の状態を示しているでしょうか?

あられの天気記号の真ん中に点がつきましたね。これはなんでしょう。

答え

正解は、「凍雨」です。

凍雨自体になじみがないですよね。氷系の降水現象というのは字面からなんとなくわかりますが。

凍雨とは、雨滴が凍って落下する透明の氷の粒のことです。

とても珍しい現象で、透明な氷の粒はお菓子に入っている乾燥剤のシリカゲルに似ています。

粒状のシリカゲル
シリカゲル画像 出典:マルワ株式会社

凍雨は、雨滴として落下している水滴が地表付近の寒さで凍って氷の粒となるため、雲の中で氷となったものが降るあられやひょうなどと生成過程が異なります。あられやひょうのように白くなく、透明な氷の粒が特徴です。

問題3 下の天気記号はどのような気象現象を示しているでしょうか?

この記号を見る機会はほとんどないと思いますが、とてもメルヘンチックな気象現象です。

答え

正解は、「虹」です🌈

色がないと味気ないですが、形からすぐに覚えられますね。

天気記号で見つけられたらちょっと幸せな気分になれそうです☺️

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