短期予報解説資料を読もう!24年9月4日

おはようございます🌤️

今日も気象庁が発表する短期予報解説資料を読んでいきましょう。

目次

短期予報解説資料 2024年9月4日03時40分発表

主要じょう乱解説図

出典:短期予報解説図抜粋

1.実況上の着目点


① 500hPa 5820m 付近で-6°C以下の寒気を伴うトラフが本州付近を東進。

数値予報天気図FXFE502 24年9月3日更新(編集あり) 青い部分は-6℃以下


② 前線がアリューシャンの南から伊豆諸島付近を通って四国沖までのびている。

ASAS天気図

「アリューシャンの南」から数千kmの停滞前線が日本列島周辺に伸びてきているのがわかりますね。

前線上の関東の東に低気圧があってほとんど停滞。低気圧や前線に向かって、太平洋高気圧の縁辺を回る下層暖湿気が流入、①の上空寒気の影響も加わり、前線近傍では大気の状態が非常に不安定となり、海上を中心に雷を伴った非常に激しい雨を解析。

出典:気象庁
南からの下層暖湿気と北からの上層寒気を横から見た図
ダチョン

冷たい空気は重くて、暖かかったり湿った空気は軽いのだ。
重い空気が上にあって軽い空気が下にある状態は、「大気の状態が不安定」と呼ばれ、上下方向に空気が入れ替わろうとする過程で雲ができて悪天候になりやすいんだ⛈️

③ 小笠原近海を熱帯低気圧が北上。


④ 台風第11号は南シナ海を西北西進。台風周辺の下層暖湿気の影響で、南西諸島で激しい雨を解析。

台風11号は、名前をYAGI(ヤギ)といい日本が提案した名前です。動物のヤギ🐐あるいは星座の山羊座♑️を意味しているそうです。

激しい雨・・・1時間雨量が30mm以上50mm未満

2.主要じょう乱の予想根拠と防災事項を含む解説上の留意点


① 1 項②の前線上の低気圧は 4 日朝には不明瞭になり前線は関東の東に進む。このため、前線の影響は小さくなるが、1 項②のトラフに伴う寒気が残る中、太平洋高気圧の縁辺を回る下層暖湿気が流入し、日中は日射による昇温の影響も加わるため、東日本太平洋側では、大気の状態が非常に不安定となり、雷を伴って非常に激しい雨が降り大雨となる所がある。

非常に激しい雨・・・1時間雨量が50mm以上80mm未満

4日は、東日本太平洋側では、これまでの大雨により地盤の緩んでいる所があり、少しの雨でも土砂災害の危険度が高まるおそれがあるため、土砂災害に警戒。低い土地の浸水、河川の増水、落雷や竜巻などの激しい突風、降ひょうに注意。また、西~東日本でも大気の状態が不安定となる所がある。落雷、突風、降ひょう、短時間強雨に注意。


② 台風第 11号は、発達しながら南シナ海を西北西進。南西諸島では、引き続き台風周辺の下層暖湿気の影響により大気の状態が不安定となる所があるため、6 日にかけて落雷、突風、短時間強雨に注意。

③ 中国東北区の 500hPa 5700m 付近のトラフに対応する前線を伴った低気圧が、5 日にかけてサハリン付近へ進む。

低気圧や前線に向かう下層暖湿気の影響で、北日本では大気の状態が不安定となり、激しい雨が降って大雨になる所がある見込み。

激しい雨・・・1時間雨量が30mm以上50mm未満

また、低気圧や前線近傍では気圧の傾きが大きくなり、強い風が吹いて波が高くなる所がある。5~6 日は、北日本では、土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に警戒、落雷、突風、降ひょう、強風、高波に注意。

強い風・・・風速が15m/s以上20m/s未満の風。


④ 1 項③の熱帯低気圧は、引き続き北上し、5日には日本の東で不明瞭になる見込み。

3.数値予報資料解釈上の留意点

総観場は GSM を基本、量予想や降水分布は MSM や LFM も参考。

4.防災関連事項 [量的予報等]

①雨量(06 時からの 24 時間):多い所(100 mm以上)はない。

②波浪(明日まで):高い所(3m以上)はない。

シャック

US-2運用可!(←波高3mまで着水可能)

出典:海上自衛隊HP

US-2の特徴に「与圧ができる」という点があります。与圧とは、乗員乗客がいるキャビン内を地上気圧に近づけて快適性を向上させる機能です。この機能があると燃料消費の少ない高高度を飛行することができるようになり、航続距離を伸ばすことができます。日本列島は海に囲まれており、海上での遭難者を救うことができる飛行艇の役割はとても大きいです。US-2は、4,700kmという航続距離を有しており、世界の飛行艇の中でも長距離を飛行することができます。

有名な救難活動の事例として、2013年にニュースキャスターの辛坊治郎さんが、小型ヨットでの太平洋横断航海中に宮城県金華山南島約1,200km沖合でマッコウクジラと衝突し、遭難した際にUS-2が救助した事例があります。遭難地点まで日本本土から最短で1,200km、復路も入れて最低2,400kmの飛行が必要な救助でしたが、US-2のパワフルな航続距離により、救助を成功させた事例でした。

③高潮(明日まで):大潮の時期。西~東日本では注意報基準を超過する所がある。

5.全般気象情報発表の有無

発表の予定はない。

おまけ

天気記号クイズ🥳

問題1 下の天気記号はどのような気象現象を示しているでしょうか?

答え

正解は「雷鳴」です。

大気中で雷が放電する際に発生する音が雷鳴です。

問題2 下の天気記号はどのような気象現象を示しているでしょうか?

どっかで見覚えがあるような、ないような…

答え

正解は「電光」です💡

大気中で雷が放電する際に発生する光が電光です。

こんな形を以前にも見ましたね。そう「雷電」です⚡️

これは「雷電」です。

雷電の記号は上の「雷鳴」と「電光」の記号をくっつけた形ですね。

⚠️こちらの雷電の記号は国際式天気記号となり、日本式とは形が異なることにご注意ください。

ちなみに地上と雲の間で発生する放電を対地放電(落雷)といい、雲の中や雲と雲の間などで発生する放電を雲放電といいます(気象庁HP引用)。試験の時、「落雷」というワードを使う際は、放電が地上に達しているものかどうか注意しましょう。

出典:気象庁HP

問題3 下の天気記号はどのような気象現象を示しているでしょうか?

答え

正解は、「霧」です。

霧の定義も気象予報士試験でよく出題されます。

霧とは微小な浮遊水滴により視程が1km未満の状態を言います(気象庁HPより)。

視程が良く、1km以上10km未満になると「もや」になります。

また「浮遊水滴💧」というワードも重要です。水滴ではなく、「乾いた微粒子」で視程10km未満の現象は「煙霧」になります。もやの定義をきちんと見ると、微小な浮遊水滴や湿った微粒子により視程が1km以上、10km未満となっている状態、と定義されていて、水滴だけでなく、湿った微粒子も含まれている点に注意しましょう。

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