短期予報解説資料を読もう!24年9月14日

おはようございます。

今日も気象庁発表の短期予報解説資料を読んでいきましょう。

目次

短期予報解説資料 2024年9月14日03時40分発表

短期予報解説資料2024年9月14日03時40分発表(一部抜粋)

1.実況上の着目点


① 台風第13号が日本の南を北西進。南西諸島では、上空寒気や台風周辺の下層暖湿気の影響で大気の状態が不安定となっており、対流雲が発達して雷を伴った激しい雨を解析。

激しい雨・・・1時間雨量が30mm以上50mm未満


② アムール川上流の500hPa 5700m付近には-12°C以下の寒気を伴ったトラフがあって東進。

トラフの位置は相変わらず自信がありません…😓

③ 500hPa 5820~5880m付近の正渦度に対応して、前線が黄海から日本海を通って日本の東にのびている。西日本~北日本では、前線に向かって高気圧の縁を回る下層暖湿気が流入、13日21時の松江の高層観測では850hPa θe355Kを観測。

2.主要じょう乱の予想根拠と防災事項を含む解説上の留意点


① 台風第13号は発達しながら日本の南を北西進、次第に暴風域を伴って14日夜にかけて南西諸島に接近、通過していく。台風に伴って、南西諸島では15日にかけて非常に強い風が吹いて大しけとなり、奄美地方では14日は猛烈な風が吹く所がある。

また、南西諸島では14日は、台風本体の雨雲や台風周辺の下層暖湿気が流入して大気の状態が非常に不安定となり、雷を伴った非常に激しい雨が降り大雨となる所がある。南西諸島は、14日は暴風に厳重に警戒し、土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に警戒。落雷や竜巻などの激しい突風にも注意。また、15日にかけて高波に警戒。

予想天気図降水量 3時間, 2024/09/14 12:00 (UTC+09:00), © Ventusky.com

南西諸島には台風が直撃します。コンパクトな台風ですが、その分、急にエッジの効いた鋭い強風が吹くため、住民の方は注意しましょう。

1項②のトラフは、14日夜に沿海州付近に進み、北海道地方を通過して15日夜にかけて千島近海に進む。

トラフの東進に伴って、14日朝までに1項③の前線上の日本海で低気圧が発生。低気圧は次第にトラフとの対応が良くなるため、前線を伴って発達しながら日本海を東北東進して15日朝にかけて北日本を通過、15日夜には千島の東に進んで前線が北日本~東日本を南下していく。

日本海上に温帯低気圧が出来上がりました。前日までは停滞前線でキンクという北への凸部分でしたが、そこが低気圧の中心になり、東に温暖前線、西に寒冷前線を持つようになりました。典型的な温帯低気圧の形ですね。

500hPaの沿海州にあるトラフの進行方向前面にちょうど温帯低気圧の中心がありますね。「トラフの東側に低気圧」があるという低気圧が発達しやすいパターンですね。トラフと低気圧も経度で数度分といういい感じの距離感にあります。(稚拙な表現でごめんなさい🙇‍♀️)自分のイメージでは、トラフ前面に経度で10度以内に低気圧があるといい感じの関係性だと認識しています。

西日本~北日本では15日にかけて、低気圧や前線に向かって850hPa θe345K以上の下層暖湿気が流入、日中の昇温の影響も加わって大気の状態が非常に不安定となり、特に前線が南下する15日は東日本や北日本では局地的に雷を伴った非常に激しい雨が降る所がある。土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水に注意・警戒、落雷や竜巻などの激しい突風、降ひょうに注意。なお、九州や四国の太平洋側の南~南東斜面を中心に15日にかけて、台風周辺や太平洋高気圧の縁を回る暖かく湿った南東風が長時間吹き付けるため、断続的に激しい雨が降り、局地的に総雨量が多くなるので留意。

FXJP854 9月14日9時〜15日21時(編集あり)

FXJP854は850hPa(高度1,500m)の等相当温位線を表示した天気図です。相当温位は数字が大きいほど空気が暖かく湿っていることを表します。上の図で相当温位が一番高いところは赤色で表示されていて、360K(ケルビン)を超えています。

赤色のエリアにある現象は台風13号です。台風がいかに暖気と湿り気をたくさん持っているかがよくわかりますね。また台風から離れていても、赤色の次に相当温位の高いオレンジ色の線(345K)が北に上がって、東北の南まで日本列島を襲いにきていることがわかります。

高度1,500mという下層に暖かく湿った空気が流入すると、大気が不安定になり、雷雨が発生しやすくなります。


③ 西日本~東日本では15日にかけて、台風によるうねりの影響で波が高くなり、しける所がある。また、北日本は15日にかけて、2項②の低気圧の影響で風が強く吹く所がある。強風や高波に注意。

予想天気図風速, 地上10 m, 2024/09/15 09:00 (UTC+09:00), © Ventusky.com

上のアニメーションはventuskyでの9月15日9時の風の流れです。北海道の南東にある渦が2項②の温帯低気圧の渦の中心です。北海道の南東の海上に強い風が吹いており、波も高くなると予想されます。

9月15日15時の波の高さ 出典:気象庁

3.数値予報資料解釈上の留意点

総観場はGSMを基本、量予想や降水分布はMSMやLFMも参考。

4.防災関連事項[量的予報等]

① 雨量(06時からの24時間):四国・九州南部・奄美150、九州北部120、東海・沖縄100mm。

② 波浪(明日まで):奄美8、九州南部7、沖縄6、四国・九州北部4、伊豆諸島・東海・近畿3m。

台風が近づいている地域や台風がもたらす南風を受ける太平洋側の地域は注意しましょう。

③ 高潮(明日まで):大潮期間。西~東日本で注意報基準を超過する所がある。

5.全般気象情報発表の有無

「台風第13号に関する情報(総合情報)」を5時頃に発表予定。

おまけ

等相当温位線で前線を見つけよう

等相当温位線はFXJP854という天気図で見ることができます。

850hPaの等相当温位線を見ることで、この気圧面における前線を発見することができます。また850hPa(高度約1,500m)で前線を見つけられれば、地上の前線解析をする際にも役に立ちます。

さっそく、FXJP854の天気図を見てみましょう。

FXJP854天気図より(編集あり)

上の図は9月14日9時のFXJP854です。見やすくするために、15K毎の太線の上に色塗りをしてあります。実践で描かれているのが等相当温位線ですが、陸地の線と似ているので注意してみましょう。よく見間違えます。

台風もあったりと情報量が多いですが、前線を解析するときに見るところは、「等相当温位線集中帯」です。等相当温位がたくさん集まっているところに前線があるということです。

14日9時の850hPaで見ると例えば、東北地方周辺の東西に等相当温位線が集中している場所があります。

FXJP854 拡大図

東北地点周辺を拡大してみると東西に伸びる等相当温位線が何本も並行に描かれていますね。これが等相当温位線集中帯です。天気図において等相当温位線のような等値線が集中しているところは、数値が急激に変化していることを表します。

前線というものはそもそも空気の性質がガラリと変わる境界線のことを言いますので、等相当温位線が集中して相当温位が急激に変化する場所の一番南に前線があると推測します。ちなみに等相当温位の値の変化が激しいということは気温や水蒸気密度の水平面での変化量が大きいことを意味します。

また前線では、風の変化があることも特徴です。上の図で言うと等相当温位線集中帯の南と北で違う風が吹いていることが見受けられます。この場合は南が南西の風、北が北西の風というように風向が変化しています。

以上のことから850hPaの等圧面での前線は上の図の東西に伸びた赤いラインと考えられます。

ちなみに地上天気図で見る前線の位置は下の図の通りです。だいたい同じような場所にありますが、地上天気図での前線の方が若干、南にありますね。

出典:気象庁
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