ボーイングの最新鋭機 B787の特徴について

こんにちは。今回はボーイングの最新機種B787について解説していきましょう。

B787は”ドリームライナー“の愛称がつけられた人と環境にやさしい夢のエアライナーです。

目次

B787とは?

B787を簡単にまとめると、

  • 炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を機体の大部分に使用した軽量で燃費の良い機体
  • 長距離を飛べる中型機として大型機では採算が見込めない路線を新規開拓したゲームチェンジャー
  • 全日本空輸が開発から参加、機体の35%を日本企業が作っている準国産飛行機

このような特徴がある飛行機です。

中型機として位置付けられるこの機体の大きな特徴は燃費の良さになります。燃費が良いとみなさんが旅行に行くときに航空運賃を安くすることができますね。航続距離も伸ばすことができ、これまで途中の空港で給油しなければ行くことができなかった遠くの都市に直接、向かうことができるようになります。

ジャンボ機など大型機の座席を埋められるほど多くの旅客が見込めなかった海外の都市への路線を、B787ドリームライナーは採算性を保って飛行することを可能にしたのです。

B787の燃費の秘密は、機体重量の軽さにあります。B787はその機体の50%の素材を従来機の金属ではなく、炭素繊維強化プラスチックなどの複合材を使って作っています。

従来の素材よりも20%も軽量な炭素繊維複合材を多く使用

B787の25年先輩で同じ中型機のカテゴリーにB767という機体があります。B767では、軽量な炭素繊維複合材を機体の3%にしか使用しておらず、機体の多くで従来通りのアルミニウム合金を使用していました。

もしB787と同じ割合で炭素繊維複合材を使い、B767を新しく作り直した場合、60トンあった機体重量を48トンにまで減らすことができるそうです。20%の減量は素晴らしいですね。12トン分の重さは、体重60kgの人間の200人分に相当しますから、軽量効果の大きさがよくわかります。

ラッコ

炭素繊維強化プラスチックは従来の素材よりも軽量なのに強度が高いという特徴があり、飛行機にとっては良いことづくめな理想的な素材です。

コスト面では高価な素材ですが軽さによる燃費改善効果と、金属ではないため腐食しないというメンテナンス面でのメリットがあります。

B787は、2011年のデビュー以降、1000機以上(2022年現在)が各航空会社に納入されていますが、未だ全損事故も死者も出したことがありません。

最新機種なだけに、とても信頼性の高い機体ですね。


B787の見分け方

① ギザギザのエンジン

B787の大きな特徴としてエンジンの後ろ側がギザギザしているところです。

このエンジンの形を「シェブロンノズル」といい、B787やB747-8、B737maxなど、この15年ほどの間に開発されたボーイング機に見られる形状です。

ちなみにシェブロン(Chevron)とは、山形とかジグザグを意味します。このシェブロンエンジンのギザギザにより、エンジンの騒音が低減されています。

ただ、次にボーイングが新しく開発している最新鋭機B777Xシリーズでは、シェブロンノズルは採用されておりません。B777は長距離路線で使用されることが多く、他機種に比べて離着陸の回数が少ないです。離着陸回数が少なければ、地上への騒音を考慮するよりも巡航中の燃費の良さが重要になります。燃費を重視した結果、シェブロンノズルより、従来型のノズルの方がメリットが大きいと判断されたようです。

またライバル会社であるエアバスもシェブロンノズルを採用する方針はありません。エアバスは、シェブロンノズルに騒音軽減効果があるとは考えておらず、むしろ重量が増加することによる燃費の悪化を懸念しているようです。

シェブロンノズルの効果も考え方によって見解が分かれるようですね。

② 滑らかにしなる翼

B787の特徴として、「飛行中に翼がよくしなる」という特徴があります。それは先にも書いたB787の炭素繊維複合材に起因します。

B787の翼は素材強度の強さから、大きな一枚板で作ることができます。従来機では、いくつかの金属パーツを繋ぎ合わせて一枚の翼を作っていましたが、B787で使用されている炭素繊維複合材は20m以上の翼を一枚の板で作ることを可能にしました。

B787の翼の形は、先端に行くにしたがって細くとがっていく美しい形状をしています。柔軟性のある粘り強い翼だから、飛行中に空気をとらえて大きく柔らかくしなることができます。気流に合わせてしなる翼は、客室がある機体胴体を乱気流などの揺れから守る効果もあります。

③ ライトにLEDを使っている

飛行機は飛行中や地上を走行するときに、他の飛行機や管制官に自分の存在や進行方向を示すため、赤色・緑色・白色のライトを点灯させて飛行しています。

B787のような最新型の飛行機の場合、そのライトにLEDを使用しており、旧来の航空機のライトよりも柔らかい光り方が特徴です。

④ コクピットの窓の数は4枚

従来のB777などの機体ではコクピットの窓は右3枚と左3枚の6枚ありました。

B787では左右2枚ずつの計4枚になりました。

窓の枚数が減ったことにより、窓と窓の間を仕切る柱がなくなりました。一枚の窓が大きいため、パイロットが外を見るための視認性が格段に向上しました。

駐機中の飛行機の型式をターミナルの窓から見分けることは難しいですが、これを知っていれば飛行機の顔を見ただけでB787を見分けることができますね。

B787 コクピット窓は4枚
B777 コクピット窓は6枚

⑤ おでこに脱出口がある

B787の脱出口

B787の前面を見てみるとコクピットの窓の上に小さなドアを見つけることができます。これは脱出口で、火災などで通常の出入口から脱出ができないときに、ここからヒモをおろしてコクピット内のパイロットが外へ逃げます。

ちなみに次の画像はB777の機体前面ですが、脱出口らしいものはありませんね。

B777の前面 脱出口は無い
ラッコ

おでこに脱出口らしきものはないね?どうやって逃げるんだろう。

B777ではコクピットの窓が開閉式になっているため、そこから脱出ができるようになっています。反対にB787のコクピットの窓は、はめ込み式で開閉をすることができません。

ボーイングの機体では、コクピットの脱出口を装備している機体はB787の他にB747が該当します。

⑥ ワイパーが縦方向に装備されている

次の画像を見てください。究極的にこれだけでB787と分かるんです。

B787のコクピット窓(外から)
ラッコ

注目すべきはワイパーなんだ。

上の画像を見るとワイパーが縦に設置されていることがわかります。これは飛行中、ワイパーを使用していない状態の時に、ワイパーを横に設置するよりも縦に設置した方が空気抵抗が少ないためです。少しでも燃費の良い機体を作るというB787の思想を体現していますね。

ちなみにボーイングのこれまでの機材のワイパーは横向きです。

B737 ワイパー
B747 ワイパー
B777 ワイパー

他に縦向きワイパーを採用しているのは、エアバス社の最新鋭機エアバスA350があります。A350の場合、コクピットの窓周りを反射防止のため、黒く塗られタヌキのようになっていますのでB787と見分けることは簡単ですね。

エアバスA350 縦向きワイパー

B787は他機種と異なり、コクピット窓の開閉ができないため、窓の外側に汚れがついた時に清掃することが難しいです。飛行機は高速で走行するため、コクピットの窓には虫の死骸などで汚れやすい環境なのです。窓の汚れを取るために、B787には車のようなウォッシャー液噴射装置とワイパーが装備されています。
ボーイングは開発当初、重量増加を懸念してウォッシャー液噴射装置を装備しないつもりでしたが、B787のローンチカスタマーである全日空の要望で装備されました。

B787が切り開いた新しい可能性

B787型機が、これまでの飛行機と大きく違うところは、

  • 軽量で燃費が良く、経済性に優れている
  • 長距離を飛ぶことができる中型機
ラッコ

この二つの特徴によって海外の大小さまざまな都市を直行便で繋ぐことに成功したんだ。

長距離を飛べる中型機だからできること

航空会社が空港と空港を結ぶ路線を維持するためには、フライトにかかる費用に見合うだけの収入を得る必要があります。路線の採算性を見るために搭乗率という指標があり、一般的に座席数に対して搭乗率60-70%があれば黒字になると言われています(条件によって変動します)。

例えば、座席数500席のジャンボ機のような大型機で採算ラインが搭乗率60%のフライトならば、300人の乗客がいればそのフライトは商業的に飛ばす価値があります。もしこの時に乗客が200人しかいなければ、200人/500座席(搭乗率40%)となり、100人分の運賃が足りない状態、つまり赤字でフライトをすることになります。

赤字の路線は当然、持続可能性がありませんから、運休や廃止になります。

話をB787型機に戻します。B787の座席は250人程度の中型機に分類されます。かつて日本から北米へ直行便で行くためには、B747やB777などの大型機に燃料をたくさん積んでフライトをする選択肢しかありませんでした。大型機は座席数も多くあるため、それを埋めるために多くの乗客を集める必要があります。しかし需要が少ない路線では搭乗率60%の採算ラインをクリアすることができず、運休や廃止となっているケースがしばしばありました。

B787は座席数が少ないため、小さな需要の路線でも採算ラインの搭乗率を大型機よりも簡単にクリアすることができます。このB787の取り回しの良さによって、運休中だった路線が息を吹き返したケースがありました。

B787が復活させた関西=ロサンゼルス便

1994年9月4日は、日本の航空史に残る日です。それは西の玄関口、関西国際空港が開港した日だからです。

日本航空は、関西国際空港が開港した当初からロサンゼルス便を開設していました。機体は当時、日本航空を代表する機体であったB747-400型機です。4基のエンジンを持ちジャンボジェットの愛称で呼ばれるB747ですが、時代が流れていくにしたがいその経済性の悪さが目立つようになりました。

採算性の観点から関空=ロサンゼルス便は、路線を開設して12年後の2006年に運休となりました。4発機のB747では、経済性が悪く、座席数としてもオーバースペックだったようです。

関空=ロサンゼルス便が運休してから8年後の2014年9月4日、関西国際空港が開港して20年の節目に再び同路線が復活を遂げることになりました。選ばれたのは、ボーイングの最新鋭機であるB787-8型機でした。200人前後の需要に対応できる程よいサイズ感と北米までの長距離を飛べる燃費の良さにより、持続可能性のある路線運用ができるようになりました。

B787は、旅客需要的に採算を合わせることがこれまで難しかった長距離路線を実現させることに成功したのです。

日本の航空会社の最長路線を担うのはB787

日本の航空会社が運行する路線で最も遠い距離のフライトをご紹介します。

それは全日空が運行する成田=メキシコシティ便です。

ただ最近はロシア上空が飛行できないため迂回ルートを余儀なくされている日本 – ヨーロッパ間の路線の方が飛行距離が長い可能性もあります。あくまで地球儀で最短ルートをひいたときに最も遠い距離にある場所ということでご了承ください。

成田=メキシコシティ便の距離は11,200km!地球4分の1周分!

成田空港とメキシコシティ空港までの距離は、11,200kmあります。この路線の便の名前は、成田からメキシコシティへ行く往路はANA180便、メキシコシティから成田へ行く復路はANA179便です。

ANA180便は成田空港を離陸してから東へ向けて飛行し、太平洋を渡ってメキシコへ向かう路線になります。

画像:flightradar24
出典:Googleマップ

機体は燃費の良い中型機B787-8

11,200kmという長距離を給油なしで飛行できる機種は限られてきます。全日空が保有している機材ではB777, B787, A380の3機種です。ANAの国際線仕様B787-8の航続距離は12,020kmでこの機体をメキシコシティ便に使用しています。

またメキシコ・シティ国際空港は標高が2,230mという高所にあります。富士山で言うと5合目くらいの高さに空港があるイメージです。日本の空港で最も標高が高い信州まつもと空港が2,157mですからそれよりも少し高い場所にある国際空港なんです。

なぜ標高の話をするのかというと飛行機のエンジンは標高が高く空気が薄い場所での離陸ではエンジンの燃焼効率が低下してしまい本来のパワーを発揮できなくなる特徴があります。

メキシコ・シティ国際空港のような標高の高い場所からの離陸では飛行機に積載しているものを軽くしないと安全に離陸することができません。そのためメキシコ・シティ国際空港を離陸する場合は、たとえ空席があっても、お客さんの人数を制限して離陸時の重量を軽くします。

またANAのメキシコシティ便に使用できるB787はメキシコ・シティ国際空港のような高い標高に適応できるよう、エンジンが特別にチューニングされている4機(登録番号JA820A、JA823A、JA827A、JA828A)に限定されてます。メキシコ・シティ国際空港便に使用されている機材はこの4機のいずれかになります。

B787を深く知る

B787は35%を日本企業が作っている準日本製飛行機

ボーイング社はアメリカの航空会社ですが、航空機のすべてのパーツを自国で作っているわけではありません。B787に関しては、機体全体のなんと35%もの部品を日本企業が製造しています。

出典:愛知県HP

三菱重工が主翼、川崎重工が前部胴体、富士重工が胴体と主翼をつなぐ中央翼など、日本の重工系企業や素材・精密機器メーカーが多数協力してB787が作られています。

日本企業は現在、独自の旅客機の製造・開発は行なっていませんが、ボーイング機の部品を製造することで、航空機製造のノウハウを高め、いつの日か国産旅客機を開発できるといいですね。

機体の多くに東レ製炭素繊維強化プラスチックを使用

B787は機体重量の約50%に炭素繊維強化プラスチック(以下、CFRP)を用いた革新的な機体としてデビューしました。そのCFRPを提供しているのは、日本の繊維メーカーである東レ株式会社です。CFRPは鉄と比べ重量が1/4と軽量にもかかわらず、強度は10倍という飛行機にうってつけの繊維素材です。

東レとボーイングの関係は1975年にB737の機体の一部に炭素繊維を提供したところから始まります。当時は機体のほんの数%程度しか炭素繊維は使われていませんでした。東レは改良を重ね、炭素繊維が機体部材に使われる箇所を少しずつ増やしていき、ついにB787の開発で機体重量の半分を東レ製の炭素繊維が用いられるまでに信頼を高めることができました。

CFRPに関して言えば東レに次ぎ帝人も世界的シェアが高いです。帝人は、エアバス向けに炭素繊維複合材を提供しており、日本の繊維メーカーの技術力の高さをうかがい知ることができます。

標準装備のヘッドアップディスプレイ

ボーイングの機材としてB787は初めて、機長席・副操縦士席ともにヘッドアップディスプレイが標準装備となりました。

ヘッドアップディスプレイ(Head-Up Display, 略称:HUD)とは、パイロットの目線にある透明なパネルで、外部監視を妨げないようにしながら飛行に関係する情報を表示する装備です。もとは戦闘機向けで、軍事用に開発された技術ですが、旅客機パイロットにとっても計器盤に視線を落とすことなく、高度や速度などの計器類の情報を得ることができる有益な装備です。

ヘッドアップディスプレイがあると、計器を見るときに視線を下に落とす必要がなくなり、

  • 窓からの外部監視を継続できるため関連機や滑走路を視認し続けられる
  • 視界を切り替えることによる空間識失調(平衡感覚を失うこと)を防げる

このようなメリットがあります。

ちなみにHUDではありませんが、B787のコクピット内の液晶ディスプレイは、日本の大手電機メーカーのシャープ株式会社の製品が使われています。

ラッコ

📺液晶テレビAQUOSで培った技術が飛行機の分野でも活躍してるんだね!

シャープの液晶ディスプレイは、

  • 高コントラスト
  • 広視野角
  • 高色度
  • 温度・気圧の変化への適応
  • 振動や衝撃に対する耐久性

このような特性を持っており、ボーイングに高く評価されています。特に広視野角のディスプレイは、左右に位置する機長と副操縦士がそれぞれの位置から離れた画面を確認できるため、コクピットにおいて有用な性能です。

客室の窓の大きさが従来機の1.3倍

飛行機の客室窓は機体の強度を下げてしまうため、機体の強度を考えると小さいか、無い方が望ましいです。しかしB787では、軽くて強度の高い炭素繊維複合材を機体に使うことにより、客室の窓を従来機のものより1.3倍大きくすることができました。

これにより視覚的にも客室内の居住性を向上させることができました。フライト中に外の景色を見ることが好きな人はB787に乗ることをおすすめします。

TOTOのウォシュレットがつきました

もはやウォシュレットがないと生きていけない人も多いのではないでしょうか。B787では、TOTOが開発した航空機用ウォシュレットがオプションで装備されています。B787は海外旅行などの長距離路線でも使用される機体であるため、ウォシュレットがあると、長時間のフライトも安心して楽しむことができますね。

2020年東京オリンピックの聖火を運んだのはB787

コロナ禍で延期になり2021年に開催された東京オリンピックですが、その時の聖火をギリシャから日本へ輸送したのはB787型機でした。JALとANAの共同運航という極めて珍しい輸送体制がとられ、使われたのはJALが保有するB787-8(JA837J)。聖火輸送機として特別な塗装が施され、「TOKYO 2020号」と名付けられました。

この時の塗装は一つの機体にJALとANAのロゴが並ぶという奇跡が起きた機体でした。

B787は事故の無い安全な機種

2009年の初飛行から15年以上が経ち、1100機以上のB787が世界中の航空会社によって運航されていますが、これまで全損事故・死亡事故は一度も発生していません。

B787の派生型

B787には、B787-8, B787-9, B787-10と3つの派生型が存在します。

機種名全長 (メートル)翼幅 (メートル)最大離陸重量 (トン)航続距離 (キロメートル)客席数 (2クラス構成)初飛行の年
B787-856.760.122813,5302422009年
B787-962.860.125414,1402962013年
B787-1068.360.125411,9103182017年

派生型の特徴は、

  • -8,-9,-10と数字が上がるにしたがい、全長が6m前後伸びて座席数が増える。
  • 翼幅(横の長さ)は変わらない
  • B787の資格を持っているパイロットなら、3機種すべてに乗務可能

面白いのは、航続距離が、 -9 → -8 → -10の順に長いことです。B787シリーズの3機種は搭載できる燃料の量は、126,000Lで共通していますが、-10ほどの大きさになると航続距離がガクッと落ちてしまうんですね。

幻の派生型 B787-3

B787の派生型の中には、開発が中断された機種としてB787-3がありました。これは全日本空輸と日本航空という日本の2社だけがオーダーした機体で、そこからわかる通り、日本の国内線に特化した機体の構想でした。

B787-3の特徴は、

  • 基本型のB787-8の1万km以上の航続距離をB787-3では5,650km程度まで短縮
  • 全長は-8と同じ56.7mだが、翼幅は52mのB767クラスまで短縮し、地方空港の小さな駐機場に対応
  • 乗客は-8より多い300人前後

というものでした。

日本の国内線の特徴である、

  • 比較的、短距離の路線
  • 空港の駐機場が狭い
  • 需要は大きいが空港の発着枠に限界があるため、1機で大量輸送が望ましい

といった日本ならではの需要に応えるためにB787-3は企画されました。

しかし、需要が日本以外に見込むことができなかったため、B737-3の開発は中止となってしまいました。

シャック

日本の2社の需要だけでは、新しい航空機型式を作ることは難しいよね。

ラッコ

でも日本の特殊な航空事情に応える形で、かつて全日空と日本航空の要望で日本の国内線専用に開発された型式があるんだよ。

日本の国内線専用に開発された型式としてB747-400D型がありました。全日空と日本航空が発注し、改造されたものを含め合計21機が運用されていました。
日本の国内線の特徴である短距離・多頻度運航に耐えられるよう、胴体や床面の構造を強化し、座席数を増やすためシートピッチを詰めたり、ギャレー部分を減らした仕様です。短距離路線ではウィングレットによる燃費低減の効果が少ないため、主翼端にあるウィングレットは取払い、翼幅を抑制することで駐機場での制限にも対応しました。

B787の開発コンセプト

速度ではなく経済性を追求

ボーイングは、B777に次ぐ新しい航空機の開発構想をしはじめてからB787としてのコンセプトが固まるまでは、音速に近い速度で巡航できる「ソニック・クルーザー」の開発を計画していました。ソニック・クルーザーは巡航速度が従来機より速くなっているため、目的地に到着する時間が10〜20%程度短縮できる反面、燃料消費が激しく、経済性よりも高速性を優先した機体でした。しかし、2001年の同時多発テロの発生等により、航空需要が減少し、航空会社は目的地までの時間短縮よりも、燃費がよく経済性の高い航空機が求められるようになりました。

これによりボーイングは、経済性を重視した航空機を作る方向に舵を切り、現在のB787ドリームライナーの開発へとシフトしていくことになります。この機体は、経済効率と環境適合性の向上に焦点を当てており、特に従来機に比べて約20%の燃費削減を実現している燃費性能が大きな特徴です。


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